だらだらと。
-------------------------------------
6時半頃にはお互い、腹が空きはじめたので夕飯を食べに行く事にした。
土曜だけあって店内は混んでおり、親子連れも多い。時折、素っ頓狂な子供の声が混じって聞こえてきたりもする。
もうちょっと静かなところが良かったかとも思ったが、和己は全く気にしていないようだった。
メニューを広げて注文を決める。料金に合わせてドリンクからメイン、サラダなど、好きなものを選べる為様々な組み合わせが出来るので、オレは少し迷ったりする。
が、和己はコレとコレとコレ、とさっさと決めてしまった。即断即決。こいつらしい。
腹一杯食べた和己は満足な表情を浮かべていたが、オレはやっぱりちょっと物足りなかった。
リングのお返しとしては。
帰り道、結構美味かったな、なんて言いながらのんびりと道を歩く。
こうやって和己と雑談をしたりして、何でもない平凡な時間が嬉しい。
時期が時期だけに、日が落ちるのが早くなってきていて既に空は薄暗いが、商店街を通るとそれぞれの店の明かりが煌々とついていた。
明日が日曜という事もあって人通りも多く、賑やかだ。
オレは、横を通り縋ろうとした民芸店の店先に、小さな置物があるのが目に入った。
「……」
足を止める。
和己に待っててくれと言い、それを手にとってレジに向かう。
店から出てきたオレは、和己にそれを差し出した。
「やる」
「は?」
「…や、別に意味ねーんだけど。夜メシ代安くついたし。何か、良かったから」
「……?」
良く分からないといった感じの和己は、その場で袋から出し、土人形と書かれた小箱のフタを開けた。
包み紙から覗いたのは、小さなカエルの置物だ。
やっぱり良く分からない。そんな顔をしている。
「何でまたコレなんだ?」
そう言いつつ箱から取り出すと、置物がコロコロと音を立てた。中が空洞になっていて、鈴のような音がする。それをしげしげと眺めていた。
「だから、特に意味ねえって。ウサギの横にでも置いといてくれ」
そう言って、オレは歩き出そうとした。
「…なんか、お前に似てんな」
「…」
オレは、歩き出そうとした足を止めた。
店先に飾ってあったカエルが目に入ったとき、オレは、眠たそうな半開きの目がちょっと自分に似てるかも、と思ったのだ。
300円程度の安いものだったけど、和己が持っててくれたら良いなと思った。
やっぱり乙女化してるのかもしれない。
でも、
「ウサギの横に飾っとくから」
そう言ってくれた和己の言葉が、やっぱり嬉しかった。
和己が、ウサギの横にカエルを置いた。
和己の部屋の中にあって、オレを感じさせる物。
それがこのカエルだ。
じわりと幸せな気分が滲み出てくる。
先週の休みといい、今週といい、なんだか良い事尽くめな気がする。
こう続くと、こんな幸せで大丈夫なのかなんて思ったりもしながら暫くカエルを眺めていたら、背後から抱きしめられた。
慎吾、と思いを込めて名を呼ばれる。
オレは固まった。
こんな時に、こんな風に呼ばれると、オレはもう、それだけで一杯一杯になってしまいそうだった。
-------------------------------------
ストックがマジメに無くなりました……どうする。
でもアクセス解析を見てみると、今日はブログへのアクセスが多かったのでこれは更新しないと!と思ってしまって、後先考えない更新に(^^;
>24日1:25に拍手コメント下さった方へ
幸せと言っていただけて、私も幸せになりました!
6時半頃にはお互い、腹が空きはじめたので夕飯を食べに行く事にした。
土曜だけあって店内は混んでおり、親子連れも多い。時折、素っ頓狂な子供の声が混じって聞こえてきたりもする。
もうちょっと静かなところが良かったかとも思ったが、和己は全く気にしていないようだった。
メニューを広げて注文を決める。料金に合わせてドリンクからメイン、サラダなど、好きなものを選べる為様々な組み合わせが出来るので、オレは少し迷ったりする。
が、和己はコレとコレとコレ、とさっさと決めてしまった。即断即決。こいつらしい。
腹一杯食べた和己は満足な表情を浮かべていたが、オレはやっぱりちょっと物足りなかった。
リングのお返しとしては。
帰り道、結構美味かったな、なんて言いながらのんびりと道を歩く。
こうやって和己と雑談をしたりして、何でもない平凡な時間が嬉しい。
時期が時期だけに、日が落ちるのが早くなってきていて既に空は薄暗いが、商店街を通るとそれぞれの店の明かりが煌々とついていた。
明日が日曜という事もあって人通りも多く、賑やかだ。
オレは、横を通り縋ろうとした民芸店の店先に、小さな置物があるのが目に入った。
「……」
足を止める。
和己に待っててくれと言い、それを手にとってレジに向かう。
店から出てきたオレは、和己にそれを差し出した。
「やる」
「は?」
「…や、別に意味ねーんだけど。夜メシ代安くついたし。何か、良かったから」
「……?」
良く分からないといった感じの和己は、その場で袋から出し、土人形と書かれた小箱のフタを開けた。
包み紙から覗いたのは、小さなカエルの置物だ。
やっぱり良く分からない。そんな顔をしている。
「何でまたコレなんだ?」
そう言いつつ箱から取り出すと、置物がコロコロと音を立てた。中が空洞になっていて、鈴のような音がする。それをしげしげと眺めていた。
「だから、特に意味ねえって。ウサギの横にでも置いといてくれ」
そう言って、オレは歩き出そうとした。
「…なんか、お前に似てんな」
「…」
オレは、歩き出そうとした足を止めた。
店先に飾ってあったカエルが目に入ったとき、オレは、眠たそうな半開きの目がちょっと自分に似てるかも、と思ったのだ。
300円程度の安いものだったけど、和己が持っててくれたら良いなと思った。
やっぱり乙女化してるのかもしれない。
でも、
「ウサギの横に飾っとくから」
そう言ってくれた和己の言葉が、やっぱり嬉しかった。
和己が、ウサギの横にカエルを置いた。
和己の部屋の中にあって、オレを感じさせる物。
それがこのカエルだ。
じわりと幸せな気分が滲み出てくる。
先週の休みといい、今週といい、なんだか良い事尽くめな気がする。
こう続くと、こんな幸せで大丈夫なのかなんて思ったりもしながら暫くカエルを眺めていたら、背後から抱きしめられた。
慎吾、と思いを込めて名を呼ばれる。
オレは固まった。
こんな時に、こんな風に呼ばれると、オレはもう、それだけで一杯一杯になってしまいそうだった。
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ストックがマジメに無くなりました……どうする。
でもアクセス解析を見てみると、今日はブログへのアクセスが多かったのでこれは更新しないと!と思ってしまって、後先考えない更新に(^^;
>24日1:25に拍手コメント下さった方へ
幸せと言っていただけて、私も幸せになりました!
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次の週の土曜、練習が終わってから和己の家に泊りがけで行く事になった。
泊りがけ。つまり、色々アレコレを含むお泊りだ。
珍しく、和己の家は家族旅行で全員出掛けており、誰もいないという事だった。
そんな訳で練習が終わって家で昼飯を食い、和己の家にやってきた。正直浮き足立っている。
部屋にある例のウサギですら、今は可愛く見えるほどだ。いや、元々姿形は可愛い縫いぐるみなんだけど。
オレは土日ゆっくり出来るという事で、とにかく和己にべったりしつつ、まったり過ごしたいと思っていた。
勿論、やる事もやりたいけど。
そこでオレは早速、ベッドの上に胡坐を掻いて雑誌を広げた和己に近付き、背後から腰に腕を回して背中に寄りかかった。
「おい慎吾」
「ん?」
「重い」
「んな重くねーし」
「いや重いから」
「んだよ」
そう言いつつ、顔を首筋に摺り寄せる。
うなじを短く刈り上げているので少しチクチクするが、和己の匂いと体温が嬉しくなる。
今度は肩に額を乗せる。
「重い!」
「うるせーなー、こんくらい。つかさー、何読んでんの」
「BRUTUS、映画特集」
律儀に答える。
「ふーん」
「って、お前全然見てないだろ。興味も無いくせに聞くな」
確かに雑誌に興味は無い。無いけど、構って欲しいのだ。
「和己ー」
呼んでみる。
「何だよ」
「……」
「おい!…何なんだよ」
「……」
呼んだはいいが、別に用があったわけでもないオレの沈黙に対し、はぁーっ、と溜息をついて、再び雑誌に視線を落とした。
「なーなー」
また声をかける。
「テメ、何だよ。嫌がらせか」
ちょっと苛立ちが見え始めた。
「違ェって。ほら、リング」
先日、和己に買って貰ったばかりのリングを嵌めている、右手人差し指を目の前に掲げてみせる。
「…あぁ。…それが?」
「それが?…って、素っ気ねぇな~。…何か、良くね?てか良いよな」
「全然意味がわからねえよ」
オレの、全く内容のない呼びかけに怒りを隠さなくなってきた。
そろそろちゃんとした方が良さそうだ。
「今日さ~、天気良いよな」
「そうだな。…何だ、どっか行きたかったのか?」
「いや、そうじゃねえけど。今は、ってか夕飯まではココにいる。7時ぐらいになったらさ、食べに行こうぜ。ほら、先週、食いモンが良いって言ってたろ」
すると暫し逡巡した後「…あぁ、あの話か」、と思い出したように言い、「じゃあ奢ってくれんのか?」と言った。
「うん。どこで食う?つか何食べたい?」
「別に何でも。色々、腹一杯食えるトコが良いな」
相変わらずロマンも何もあったもんじゃなかった。
別に和己にロマンを求める気は無いが、友達やってた頃と寸分違わぬこの返事はどうなんだと思う。
少々不満に思いつつ、和己が満足しそうな所を考えてみる。
というか、考えなくてもファミレスで充分満足しそうだ。
しかしそれだとちょっと寂しい。
そこで、系統からいうとファミレスに近いチェーン店だけど、そこそこ美味しいイタリアン系の店があるので、そこはどうだろうと思った。
かなりメニューのバリエーションも多く、ピザ一つとっても、デカいし腹もふくれる筈だ。
和己に提案すると、何の異論も無くOKが出た。というか、特に考えてない感じだったが。
ちなみにその後も、オレは主に和己にべったりしていた。
鬱陶しいし重いし何なんだ、という和己の反応は最もだったけど、そこは半分無視した。
雑誌を読み終えると和己は俺に向き直った。
「慎吾」
「ん?」
「構って欲しいならそう言え」
「…」
「構ってやるから。オレなりに」
オレなり?微妙に嫌な予感がした。
目の前の和己がニヤリと笑った。
「ぎゃははははははは!うははははは!やめっ、マジ…っぎゃはははは!はっはっはっはぁっ」
オレはベッドに押し倒されて、くすぐり倒されていた。脇やら足の裏やら脇腹やら、あらゆるポイントを突いてくる。
はっきり言って、オレには拷問だ。くすぐったがりの人間にとって、容赦なくくすぐられるという事がどういう事かコイツには分かってない。本当に辛いのだ。涙目で、笑いすぎで呼吸困難になるぐらいの勢いなのだ。今だけは、目の前のコイツの首を絞めたいと正直思った。
とにかく、この事態を打開しようと、笑い倒しながらも両足を和己の首に掛け、締めた。そのまま倒しにかかる。
「うおっ」
思わぬ反撃に和己がたじろいで、ベッドに倒れる。
よし、とそのまますぐに馬乗りになった。
が、更に脇に手を伸ばそうとしてくるので、慌てて手首を掴んで体重をかけて押さえ込んだ。
「はあっはあっはあっ…コノヤロウ、マジ、ふざけんな…っ」
オレは息も絶え絶えだったが、ようやくくすぐり地獄から脱出し、何とか一息つく事が出来た。
「お前、弱いんだなぁ、くすぐられんの。感じやすいのか?」
こんな体勢になっても、余裕の表情で聞いてくる。
テメ…っ、人の気も知らねえでこのエロオヤジ!と心の中で罵った。
オレの表情から怒り具合が伝わったのか、
「…慎吾、ゴメン。もうしねーから」
そう謝ってきた。オレは、和己に素直に謝られると弱かった。つい許してしまう。
結局、好きになっちまった方の弱みだ、と思う。
「マジで、もうすんなよ」
そう言って、手首を離した。
上体を起こそうとすると、逆に手首を取られた。
「でもさ」
オレは、また何かされるのかとビクリとした。
「この体勢は良いよな」
そう言って、引っ張られるままに和己の上に身体を倒してしまった。
「ちょ、んんっ」
顔を両手で固定され、キスされる。息がまだ整っていない状態だったので少し苦しい。
しかし抗議したい気持ちを、嬉しい気持ちが上回ってしまうので、結局オレは何も言えない。
ひとしきりキスされて、オレは和己の上に身体を預けたまま、肩に顔を埋めた。
オレの体重が、殆ど和己にかかっている状態だ。
「……重くねえの?」
「ん?重いよ」
「でも押しのけねえの?」
「今はいい」
そうして、頭を軽く撫でられた。
どうしよう、幸せだ。
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次の週の土曜、練習が終わってから和己の家に泊りがけで行く事になった。
泊りがけ。つまり、色々アレコレを含むお泊りだ。
珍しく、和己の家は家族旅行で全員出掛けており、誰もいないという事だった。
そんな訳で練習が終わって家で昼飯を食い、和己の家にやってきた。正直浮き足立っている。
部屋にある例のウサギですら、今は可愛く見えるほどだ。いや、元々姿形は可愛い縫いぐるみなんだけど。
オレは土日ゆっくり出来るという事で、とにかく和己にべったりしつつ、まったり過ごしたいと思っていた。
勿論、やる事もやりたいけど。
そこでオレは早速、ベッドの上に胡坐を掻いて雑誌を広げた和己に近付き、背後から腰に腕を回して背中に寄りかかった。
「おい慎吾」
「ん?」
「重い」
「んな重くねーし」
「いや重いから」
「んだよ」
そう言いつつ、顔を首筋に摺り寄せる。
うなじを短く刈り上げているので少しチクチクするが、和己の匂いと体温が嬉しくなる。
今度は肩に額を乗せる。
「重い!」
「うるせーなー、こんくらい。つかさー、何読んでんの」
「BRUTUS、映画特集」
律儀に答える。
「ふーん」
「って、お前全然見てないだろ。興味も無いくせに聞くな」
確かに雑誌に興味は無い。無いけど、構って欲しいのだ。
「和己ー」
呼んでみる。
「何だよ」
「……」
「おい!…何なんだよ」
「……」
呼んだはいいが、別に用があったわけでもないオレの沈黙に対し、はぁーっ、と溜息をついて、再び雑誌に視線を落とした。
「なーなー」
また声をかける。
「テメ、何だよ。嫌がらせか」
ちょっと苛立ちが見え始めた。
「違ェって。ほら、リング」
先日、和己に買って貰ったばかりのリングを嵌めている、右手人差し指を目の前に掲げてみせる。
「…あぁ。…それが?」
「それが?…って、素っ気ねぇな~。…何か、良くね?てか良いよな」
「全然意味がわからねえよ」
オレの、全く内容のない呼びかけに怒りを隠さなくなってきた。
そろそろちゃんとした方が良さそうだ。
「今日さ~、天気良いよな」
「そうだな。…何だ、どっか行きたかったのか?」
「いや、そうじゃねえけど。今は、ってか夕飯まではココにいる。7時ぐらいになったらさ、食べに行こうぜ。ほら、先週、食いモンが良いって言ってたろ」
すると暫し逡巡した後「…あぁ、あの話か」、と思い出したように言い、「じゃあ奢ってくれんのか?」と言った。
「うん。どこで食う?つか何食べたい?」
「別に何でも。色々、腹一杯食えるトコが良いな」
相変わらずロマンも何もあったもんじゃなかった。
別に和己にロマンを求める気は無いが、友達やってた頃と寸分違わぬこの返事はどうなんだと思う。
少々不満に思いつつ、和己が満足しそうな所を考えてみる。
というか、考えなくてもファミレスで充分満足しそうだ。
しかしそれだとちょっと寂しい。
そこで、系統からいうとファミレスに近いチェーン店だけど、そこそこ美味しいイタリアン系の店があるので、そこはどうだろうと思った。
かなりメニューのバリエーションも多く、ピザ一つとっても、デカいし腹もふくれる筈だ。
和己に提案すると、何の異論も無くOKが出た。というか、特に考えてない感じだったが。
ちなみにその後も、オレは主に和己にべったりしていた。
鬱陶しいし重いし何なんだ、という和己の反応は最もだったけど、そこは半分無視した。
雑誌を読み終えると和己は俺に向き直った。
「慎吾」
「ん?」
「構って欲しいならそう言え」
「…」
「構ってやるから。オレなりに」
オレなり?微妙に嫌な予感がした。
目の前の和己がニヤリと笑った。
「ぎゃははははははは!うははははは!やめっ、マジ…っぎゃはははは!はっはっはっはぁっ」
オレはベッドに押し倒されて、くすぐり倒されていた。脇やら足の裏やら脇腹やら、あらゆるポイントを突いてくる。
はっきり言って、オレには拷問だ。くすぐったがりの人間にとって、容赦なくくすぐられるという事がどういう事かコイツには分かってない。本当に辛いのだ。涙目で、笑いすぎで呼吸困難になるぐらいの勢いなのだ。今だけは、目の前のコイツの首を絞めたいと正直思った。
とにかく、この事態を打開しようと、笑い倒しながらも両足を和己の首に掛け、締めた。そのまま倒しにかかる。
「うおっ」
思わぬ反撃に和己がたじろいで、ベッドに倒れる。
よし、とそのまますぐに馬乗りになった。
が、更に脇に手を伸ばそうとしてくるので、慌てて手首を掴んで体重をかけて押さえ込んだ。
「はあっはあっはあっ…コノヤロウ、マジ、ふざけんな…っ」
オレは息も絶え絶えだったが、ようやくくすぐり地獄から脱出し、何とか一息つく事が出来た。
「お前、弱いんだなぁ、くすぐられんの。感じやすいのか?」
こんな体勢になっても、余裕の表情で聞いてくる。
テメ…っ、人の気も知らねえでこのエロオヤジ!と心の中で罵った。
オレの表情から怒り具合が伝わったのか、
「…慎吾、ゴメン。もうしねーから」
そう謝ってきた。オレは、和己に素直に謝られると弱かった。つい許してしまう。
結局、好きになっちまった方の弱みだ、と思う。
「マジで、もうすんなよ」
そう言って、手首を離した。
上体を起こそうとすると、逆に手首を取られた。
「でもさ」
オレは、また何かされるのかとビクリとした。
「この体勢は良いよな」
そう言って、引っ張られるままに和己の上に身体を倒してしまった。
「ちょ、んんっ」
顔を両手で固定され、キスされる。息がまだ整っていない状態だったので少し苦しい。
しかし抗議したい気持ちを、嬉しい気持ちが上回ってしまうので、結局オレは何も言えない。
ひとしきりキスされて、オレは和己の上に身体を預けたまま、肩に顔を埋めた。
オレの体重が、殆ど和己にかかっている状態だ。
「……重くねえの?」
「ん?重いよ」
「でも押しのけねえの?」
「今はいい」
そうして、頭を軽く撫でられた。
どうしよう、幸せだ。
-------------------------------------
>9巻読みました。
和さんと呂佳さんが思ったより全然仲が良かったのが驚きでした。
和さんお茶目だし何か。
-------------------------------------
少し歩いてから和己が唐突に、「お前誕生日いつだっけ?」と切り出してきた。
意図が読めなかったが、9月21日だけど、と返す。
「過ぎちまってるけど、まぁ良いか。何か買ってやるよ。誕生日プレゼントって事で」
「え」
過ぎてるっていうか一ヶ月以上も過ぎてるし、とか、何で急に誕生日プレゼントの話に、とか色々と脳裏をよぎる。
「なんかさ、一応記念の品っぽくなんじゃないか?お前に何か物をやった事とか無かったよな?雑誌とか弁当のおかずぐれえしか」
「あぁ…そうかも」
和己がオレに、オレの為に何か買ってくれる。何だか急に嬉しさがこみ上げてきた。
「お前、何か前につけてたリングとか、ああいうのが好きだろ」
「や、でも結構高えし」
安物ならまだしも、シルバーアクセとなると、それなりにする。
「心配しなくても店で一番安いのとかしか買わねえよ」
そう言って、ズンズン歩いていく。
慌てて後を追うが、和己は急に立ち止まった。
「スマン、ああいう店ってどこにあんだ?」
お前知らずに歩き出したのか。つい心中でツッコミを入れる。
「もっと先だよ…つか、行った事無いんだよな?」
「無い」
良く適当に買うとか言えるよな…と呆れる。この分だと値段もロクに知らなさそうだ。
入った所は、ブランド品などは置いていない、オリジナルデザインが中心の店だった。値段は手頃なものも扱っていて、比較的買いやすい。
そうはいってもモノによっては結構する。まして高校生の財力では選択の幅も狭かった。
取り敢えず、良心的な値段のものを探そうと店の奥へ入っていくオレとは対照的に、和己はレジ近くのショーケースに飾ってある、いかにも値段の張りそうな商品を見て、高えモンだな~なんてのんびり言っている。
アイツ、大丈夫なのか、と不安になる。そもそも金を持っているのか。
シンプルで細めのデザイン(要はシルバーの量が少ない)なら安いはず、と順番に見ていくと、目に止まるものがあった。
華奢でいかにもシンプルだが、微妙に波打つ海面のような ゆるやかな凹凸があるリングだ。何にでも合いそうだし、思ったより厚みもあった。
値段も、3500円と手頃だ。
「和己!」
早速呼ぶ。
「ん?」
「これとか良いかな~と」
「あぁ、シンプルだな。前つけてたのって、もっとゴツくなかったか?」
「あれは兄貴のだし」
「じゃあ、それにすっか」
そう言って、店員を呼んだ。
つかコイツ、値段ちゃんと確認したのか?無難なものを選んだものの、そんな適当でいいのか。
人事ながら不安になる。
リングは右手の人差し指に嵌める事にした。さすがに左手の薬指なんてちょっと出来ない。
サイズなどを確認し、レジで会計を済ませ、店を出てすぐに「ホレ」と渡された。
「おう…、サンキュ」
やっぱり、ちょっと嬉しかった。
「あ、お前もさ…てか誕生日いつだっけ」
「もう終わってる。6月」
「そっか…でも、何かそのうち返すから。欲しいモンあったら言えよ」
「そーだな~、思いつかねーけど。何か食いモンとか」
「食いモン…」
現実的過ぎて夢も何も無い。
「なんか、形に残るもんとかいらねえの?」
「いや、別に無えな」
余りに素っ気無い。こいつこんな調子で前の彼女ともやってたんじゃないだろうなと心配してしまう。
女の子は思い出とか記念日とかそういうのを重視するから、こんなんじゃ、さぞ(彼女にしたら)味気ない付き合いだっただろうと思う。
そのまま思ったことを言ってみると、
「最初は不満漏らしてたけど。でも段々受け入れてくれたし」
本当に受け入れてくれてたのか疑問に残るところだ。実は不満を溜めてたんじゃないだろうか。
しかし、と思い直す。今は、関係無いし。付き合ってんの、オレだし…と、リングの入った小さな紙袋を見る。
そして、心の中でこっそりうへへと笑った。
-------------------------------------
和さんと呂佳さんが思ったより全然仲が良かったのが驚きでした。
和さんお茶目だし何か。
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少し歩いてから和己が唐突に、「お前誕生日いつだっけ?」と切り出してきた。
意図が読めなかったが、9月21日だけど、と返す。
「過ぎちまってるけど、まぁ良いか。何か買ってやるよ。誕生日プレゼントって事で」
「え」
過ぎてるっていうか一ヶ月以上も過ぎてるし、とか、何で急に誕生日プレゼントの話に、とか色々と脳裏をよぎる。
「なんかさ、一応記念の品っぽくなんじゃないか?お前に何か物をやった事とか無かったよな?雑誌とか弁当のおかずぐれえしか」
「あぁ…そうかも」
和己がオレに、オレの為に何か買ってくれる。何だか急に嬉しさがこみ上げてきた。
「お前、何か前につけてたリングとか、ああいうのが好きだろ」
「や、でも結構高えし」
安物ならまだしも、シルバーアクセとなると、それなりにする。
「心配しなくても店で一番安いのとかしか買わねえよ」
そう言って、ズンズン歩いていく。
慌てて後を追うが、和己は急に立ち止まった。
「スマン、ああいう店ってどこにあんだ?」
お前知らずに歩き出したのか。つい心中でツッコミを入れる。
「もっと先だよ…つか、行った事無いんだよな?」
「無い」
良く適当に買うとか言えるよな…と呆れる。この分だと値段もロクに知らなさそうだ。
入った所は、ブランド品などは置いていない、オリジナルデザインが中心の店だった。値段は手頃なものも扱っていて、比較的買いやすい。
そうはいってもモノによっては結構する。まして高校生の財力では選択の幅も狭かった。
取り敢えず、良心的な値段のものを探そうと店の奥へ入っていくオレとは対照的に、和己はレジ近くのショーケースに飾ってある、いかにも値段の張りそうな商品を見て、高えモンだな~なんてのんびり言っている。
アイツ、大丈夫なのか、と不安になる。そもそも金を持っているのか。
シンプルで細めのデザイン(要はシルバーの量が少ない)なら安いはず、と順番に見ていくと、目に止まるものがあった。
華奢でいかにもシンプルだが、微妙に波打つ海面のような ゆるやかな凹凸があるリングだ。何にでも合いそうだし、思ったより厚みもあった。
値段も、3500円と手頃だ。
「和己!」
早速呼ぶ。
「ん?」
「これとか良いかな~と」
「あぁ、シンプルだな。前つけてたのって、もっとゴツくなかったか?」
「あれは兄貴のだし」
「じゃあ、それにすっか」
そう言って、店員を呼んだ。
つかコイツ、値段ちゃんと確認したのか?無難なものを選んだものの、そんな適当でいいのか。
人事ながら不安になる。
リングは右手の人差し指に嵌める事にした。さすがに左手の薬指なんてちょっと出来ない。
サイズなどを確認し、レジで会計を済ませ、店を出てすぐに「ホレ」と渡された。
「おう…、サンキュ」
やっぱり、ちょっと嬉しかった。
「あ、お前もさ…てか誕生日いつだっけ」
「もう終わってる。6月」
「そっか…でも、何かそのうち返すから。欲しいモンあったら言えよ」
「そーだな~、思いつかねーけど。何か食いモンとか」
「食いモン…」
現実的過ぎて夢も何も無い。
「なんか、形に残るもんとかいらねえの?」
「いや、別に無えな」
余りに素っ気無い。こいつこんな調子で前の彼女ともやってたんじゃないだろうなと心配してしまう。
女の子は思い出とか記念日とかそういうのを重視するから、こんなんじゃ、さぞ(彼女にしたら)味気ない付き合いだっただろうと思う。
そのまま思ったことを言ってみると、
「最初は不満漏らしてたけど。でも段々受け入れてくれたし」
本当に受け入れてくれてたのか疑問に残るところだ。実は不満を溜めてたんじゃないだろうか。
しかし、と思い直す。今は、関係無いし。付き合ってんの、オレだし…と、リングの入った小さな紙袋を見る。
そして、心の中でこっそりうへへと笑った。
-------------------------------------
というわけで始まりましたが、後半部分が書けてないままの見切り発車です。
何気に練習慎吾からの続きみたいになってます。
-------------------------------------
日曜日、部活も休みの今日は、和己と出かけられる事になった。つまりデートだ。”男同士でデート”という響きが痛かろうが何だろうがデートだ。
和己とモスで落ち合い、テーブルについて、注文したバニラシェイクを啜っていると、右斜め前の席にいるカップルが目に留まった。
そのカップルはペアリングをしていた。少し離れていて見え辛いけど、恐らくそうだ。
ペアリングと言えば、以前に元カノで、買いたいと言っていた子がいた。
オレは正直、縛られる感じが嫌でやらなかったけど。
今、こうして人がしているのをみていると、ちょっと良いな…なんて思ってしまった。
やっぱり乙女化が進んでるんだろうか。
しかし仮にオレと和己が実際やったらそれはもう、色々と痛い事になるだろうなと思う。
まず、和己がアクセサリーとか身につけるようなガラじゃない。
ましてオレとペアなんて誰が見てもキモイだろうし、そんなものを知ってる人間に見られようものなら、あっという間にホモ説が広まるだろう。
慎吾って最近彼女作らないと思ったら、ソッチだったの?なんてクラスの子に言われたりして。
想像するだけで恐ろしかった。
しかしオレは何となく諦めきれずに、モスを出て街をブラブラ歩き始めた頃、いっぱい前置きをつけて切り出してみた。
「いや勿論、有り得ねえとは思うんだけどさ。んなモン男同士でやったらホモを公言してるも同然だし。ただ見ててちょっと良いかなとか思っちまったっつうか。いやいやそりゃあさ、別にホントにやりてえとか、…んなんじゃないけどさ…」
言った時点で、結局やりてえって言ってんじゃんオレ、と思った。
「…でもお前、羨ましいとか思ったから言ってんだろ?」
「…」
「別にアクセサリーにこだわらなくても良いんじゃねえか?」
「…ていうと?」
「そーだなぁ…」
そう言って、和己はキョロキョロし始めた。少し歩いてから、何やらファンシーな雑貨ショップに入っていく。
おいおい、と思った。正直、男が入るにはキツイ店だ。彼女連れならまだしも。
和己は、キャラクターグッズのコーナーで足を止めた。ストラップとかキーホルダーが沢山ぶら下がっている棚を物色し、しばらくして「あったあった」と手に取ったのは例のウサギ、ミッ○ィーのストラップだった。
自然、表情が引きつると同時に以前の記憶が蘇る。
「オレは縫いぐるみが家にあるしさ。お揃いっちゃ お揃いだろ。なあ?」
なんてオレの顔を覗き込みつつ言う。
「あの…ホント、すんませんした…勘弁してください…」
視線を外しつつ、敬語で言う。
「慎吾~、別に責めてるわけじゃねえぞ~。オレもいつまでも根に持つような人間じゃねえよ」
そんなニヤニヤした顔で言われても、と思う。明らかにいじめるネタを発見したタチの悪い人間そのものだ。
「いえ、ホントもう、いいんで…ペアとか…」
オレが俯いたまま言うと、「悪い悪い」とストラップを戻して店を出た。
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何気に練習慎吾からの続きみたいになってます。
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日曜日、部活も休みの今日は、和己と出かけられる事になった。つまりデートだ。”男同士でデート”という響きが痛かろうが何だろうがデートだ。
和己とモスで落ち合い、テーブルについて、注文したバニラシェイクを啜っていると、右斜め前の席にいるカップルが目に留まった。
そのカップルはペアリングをしていた。少し離れていて見え辛いけど、恐らくそうだ。
ペアリングと言えば、以前に元カノで、買いたいと言っていた子がいた。
オレは正直、縛られる感じが嫌でやらなかったけど。
今、こうして人がしているのをみていると、ちょっと良いな…なんて思ってしまった。
やっぱり乙女化が進んでるんだろうか。
しかし仮にオレと和己が実際やったらそれはもう、色々と痛い事になるだろうなと思う。
まず、和己がアクセサリーとか身につけるようなガラじゃない。
ましてオレとペアなんて誰が見てもキモイだろうし、そんなものを知ってる人間に見られようものなら、あっという間にホモ説が広まるだろう。
慎吾って最近彼女作らないと思ったら、ソッチだったの?なんてクラスの子に言われたりして。
想像するだけで恐ろしかった。
しかしオレは何となく諦めきれずに、モスを出て街をブラブラ歩き始めた頃、いっぱい前置きをつけて切り出してみた。
「いや勿論、有り得ねえとは思うんだけどさ。んなモン男同士でやったらホモを公言してるも同然だし。ただ見ててちょっと良いかなとか思っちまったっつうか。いやいやそりゃあさ、別にホントにやりてえとか、…んなんじゃないけどさ…」
言った時点で、結局やりてえって言ってんじゃんオレ、と思った。
「…でもお前、羨ましいとか思ったから言ってんだろ?」
「…」
「別にアクセサリーにこだわらなくても良いんじゃねえか?」
「…ていうと?」
「そーだなぁ…」
そう言って、和己はキョロキョロし始めた。少し歩いてから、何やらファンシーな雑貨ショップに入っていく。
おいおい、と思った。正直、男が入るにはキツイ店だ。彼女連れならまだしも。
和己は、キャラクターグッズのコーナーで足を止めた。ストラップとかキーホルダーが沢山ぶら下がっている棚を物色し、しばらくして「あったあった」と手に取ったのは例のウサギ、ミッ○ィーのストラップだった。
自然、表情が引きつると同時に以前の記憶が蘇る。
「オレは縫いぐるみが家にあるしさ。お揃いっちゃ お揃いだろ。なあ?」
なんてオレの顔を覗き込みつつ言う。
「あの…ホント、すんませんした…勘弁してください…」
視線を外しつつ、敬語で言う。
「慎吾~、別に責めてるわけじゃねえぞ~。オレもいつまでも根に持つような人間じゃねえよ」
そんなニヤニヤした顔で言われても、と思う。明らかにいじめるネタを発見したタチの悪い人間そのものだ。
「いえ、ホントもう、いいんで…ペアとか…」
オレが俯いたまま言うと、「悪い悪い」とストラップを戻して店を出た。
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