だらだらと。
最近、準太と一緒にいる時間が増えた。余計な事は聞いてこないし、屈託無く接してくれるし、オレの、練習中以外の情緒不安定ぶりをそれとなく気遣ってもくれる。正直、有り難い存在だった。
「準太、お前好きなやついるか?」
「え、なんすか急に」
準太がぎょっとしてこちらを見る。無理も無い。野球以外のプライベートな話をする事はあまり無い上に何の脈絡も無い質問だったからだ。
しかし、最近元気の無いオレを気遣ってか、律儀に応えてくれる。
「いるような…いないような」
腕を組み、考えながらの返答。
「どっちなんだ?」
更につっこんでみる。
「かわいいとは思うんですけど、それが好きかっつーと…よくわかんねっす」
準太の脳裏には、きっと可愛い同級生あたりが浮かんでいるに違いない。だというのにオレときたら。
「お前はモテるんだから、悔いの無い恋愛しろよ」
達観したようにそんな事を言うと、さらに準太はびくっとして若干身を引いた。
「なんスかさっきから。ほんと何かあったんすか和さん」
いぶかしげに、しかし本気で心配し始めた準太を尻目にオレはここ数日の出来事を思い返していた。何かあったといえば確実にあったし、その後は何も無かったといえる。
というよりは、慎吾の方からのリアクションが皆無だったというべきか。
男同士で「アリじゃね?」なんて軽いノリで、触れ合おうとした事件。今考えても冗談にも出来ない出来事だったにも拘らず、慎吾はあっさり身を引いて、その後は何事も無かったかのように日々を送っている。オレにはそれがどうしても信じられなかったし、まるで慎吾にとっては気にするほどの事ではなかったと言われているような気がして、正直、落ち込んでいた。
しかし、落ち込んでるばかりじゃいられない。いや、それならこちらも、何も無かったぐらいの気持ちで接しなければと思っていたのに、否応無く視線はうっかり慎吾を追ってしまう始末だった。
そして恨みがましく思う。人の気持ちを何だと思ってるんだ、などと。
そもそもの発端は自分だというのに。そして行為を止めたのも自分だった。だけど、もうちょっと、こちらの気持ちとかそういうものを察してくれても良いんじゃないか、そう思うのは身勝手だろうか。
「和さん?」
いや、やはり身勝手だ。大体、うっかり慎吾に欲情したのも自分だし、慎吾はそれにノっただけだというのに。
しかし、しかしだ。あんな事があって人は平然としていられるものなのか。
「和さーん!」
「何だ!」
大声に我に返る。
「あらぬ所見てたんで。それと休憩時間そろそろ終わりじゃないっすか」
「あぁ…そうか、すまん」
最近、こんな事ばかりだ。同じような事を考えて、慎吾の平然とした態度にがっかりして、また思い悩んで。
正直、辛かった。
「準太、お前好きなやついるか?」
「え、なんすか急に」
準太がぎょっとしてこちらを見る。無理も無い。野球以外のプライベートな話をする事はあまり無い上に何の脈絡も無い質問だったからだ。
しかし、最近元気の無いオレを気遣ってか、律儀に応えてくれる。
「いるような…いないような」
腕を組み、考えながらの返答。
「どっちなんだ?」
更につっこんでみる。
「かわいいとは思うんですけど、それが好きかっつーと…よくわかんねっす」
準太の脳裏には、きっと可愛い同級生あたりが浮かんでいるに違いない。だというのにオレときたら。
「お前はモテるんだから、悔いの無い恋愛しろよ」
達観したようにそんな事を言うと、さらに準太はびくっとして若干身を引いた。
「なんスかさっきから。ほんと何かあったんすか和さん」
いぶかしげに、しかし本気で心配し始めた準太を尻目にオレはここ数日の出来事を思い返していた。何かあったといえば確実にあったし、その後は何も無かったといえる。
というよりは、慎吾の方からのリアクションが皆無だったというべきか。
男同士で「アリじゃね?」なんて軽いノリで、触れ合おうとした事件。今考えても冗談にも出来ない出来事だったにも拘らず、慎吾はあっさり身を引いて、その後は何事も無かったかのように日々を送っている。オレにはそれがどうしても信じられなかったし、まるで慎吾にとっては気にするほどの事ではなかったと言われているような気がして、正直、落ち込んでいた。
しかし、落ち込んでるばかりじゃいられない。いや、それならこちらも、何も無かったぐらいの気持ちで接しなければと思っていたのに、否応無く視線はうっかり慎吾を追ってしまう始末だった。
そして恨みがましく思う。人の気持ちを何だと思ってるんだ、などと。
そもそもの発端は自分だというのに。そして行為を止めたのも自分だった。だけど、もうちょっと、こちらの気持ちとかそういうものを察してくれても良いんじゃないか、そう思うのは身勝手だろうか。
「和さん?」
いや、やはり身勝手だ。大体、うっかり慎吾に欲情したのも自分だし、慎吾はそれにノっただけだというのに。
しかし、しかしだ。あんな事があって人は平然としていられるものなのか。
「和さーん!」
「何だ!」
大声に我に返る。
「あらぬ所見てたんで。それと休憩時間そろそろ終わりじゃないっすか」
「あぁ…そうか、すまん」
最近、こんな事ばかりだ。同じような事を考えて、慎吾の平然とした態度にがっかりして、また思い悩んで。
正直、辛かった。
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