だらだらと。
「ほれ」
慎吾がピラピラとネクタイを上下に振っている。早くやれという意思表示だ。
オレはそのネクタイに手をかける。結び目から布をゆっくり引き抜いて解き、シュルシュルと衣擦れの音をさせて襟からネクタイを抜き取る。
慎吾はただ、その光景を見下ろしている。表情には何の変化も見受けられない。これから起こる事に対して感情を動かす事は何も無いという風に。
そしてオレはシャツのボタンに手をかけた。一つ外し、そして二つ目のボタンを外すと、少しだけ慎吾の鎖骨が見えた。
そこが限界だった。
「無理だぁあ!」
手に持ったままだったネクタイを床に投げつけ、大股で部屋の扉へ歩いてドアノブに手をかけた時、「待て待て待て」と静止された。
「とりあえず落ち着け。ていうかびっくりするわお前」
慎吾に肩を掴まれる。
しかし慎吾の神経が、今の段になってやはり理解できないと悟ったのだ。
「オレには無理だ」
「いやまぁ、それは充分伝わったけど。でもそこまで思いつめなくても良いだろ」
オレが考えすぎだとでも言いたいのか。
事の発端は一時間前。部室に人影が大分減って来た頃だった。
だらだら着替えていた慎吾の裸の上半身をなんとなく眺めていたら、喉元から胸元にかけて一筋の汗が伝い落ちていくのが見えた。
何だか分からなかったが、それが妙に衝撃的で、こういうのに女子は『良い』と感じるのだろうかなどと思った。
思えば野郎の裸なぞ毎日見ているというのに、何故その時だけ違って見えたのか、それは今でも分からない。
しかしそれは心の中に残り続けていたので、物事を内側に貯めておきたくない、というか貯めておけないタチの自分は、冗談交じりに話したのだった。
話してしまったというべきか。
”お前キモッ、いやいやマジで”
なんてリアクションを想定していたのだ。そしてオレも、”いや~、ビックリするよな~、実はこういう時に走るのかもしれねえな、男に”と、”男に”の部分を強調してニヤリと笑ってやろうとそこまで考えていたのだ。
しかし。
慎吾は少し考える風な仕草をした。そしてオレの顔を見た。
呟いた。
「アリじゃね?」
「……」
何も言えなかった。いや、言った。固まってしまった次の瞬間にはちゃんと言ったのだ。
「いやいや無いだろ。無いから。無いし」
三度言った。
「でもこういうのって、意外とノリじゃね?」
どこかのチャラ男風のノリで更に返された。
「つうか、試す価値はあると思うんだよオレ的に。意外と、新しい扉が開くかもしれないだろ。新たな夜明けを迎える的な?」
言っている事が良く分からないが、気が付けば慎吾の家へと連行されていたのだ。
「お前が何かギリギリだってのは伝わってたけど。根本的には何が無理なんだよ」
問い質される。
「いやなんか、お前の鎖骨が見えた瞬間、いや、ネクタイを解いてる時から、いけない事をしているような気が物凄くしてた」
「成る程」
うんうん、と分かったような相槌を打たれる。
「悪い事をしてる気になったと。でも嫌な感じとは違うんだな?」
「うーん、そうだな。そうと言える…のか?」
自分でも自分の心の内が分からない。しかし慎吾はまるで分かっているといわんばかりだった。
-----------------------------------------
何も考えずに急に書き始めました。
ちゃんと終わるのかは不明。
そして島和になったらごめんなさい。
でも最初の萌は島和だったんです自分!
ここで原点回帰を一度図ってみようかと思いましたが如何でしょうか。
慎吾がピラピラとネクタイを上下に振っている。早くやれという意思表示だ。
オレはそのネクタイに手をかける。結び目から布をゆっくり引き抜いて解き、シュルシュルと衣擦れの音をさせて襟からネクタイを抜き取る。
慎吾はただ、その光景を見下ろしている。表情には何の変化も見受けられない。これから起こる事に対して感情を動かす事は何も無いという風に。
そしてオレはシャツのボタンに手をかけた。一つ外し、そして二つ目のボタンを外すと、少しだけ慎吾の鎖骨が見えた。
そこが限界だった。
「無理だぁあ!」
手に持ったままだったネクタイを床に投げつけ、大股で部屋の扉へ歩いてドアノブに手をかけた時、「待て待て待て」と静止された。
「とりあえず落ち着け。ていうかびっくりするわお前」
慎吾に肩を掴まれる。
しかし慎吾の神経が、今の段になってやはり理解できないと悟ったのだ。
「オレには無理だ」
「いやまぁ、それは充分伝わったけど。でもそこまで思いつめなくても良いだろ」
オレが考えすぎだとでも言いたいのか。
事の発端は一時間前。部室に人影が大分減って来た頃だった。
だらだら着替えていた慎吾の裸の上半身をなんとなく眺めていたら、喉元から胸元にかけて一筋の汗が伝い落ちていくのが見えた。
何だか分からなかったが、それが妙に衝撃的で、こういうのに女子は『良い』と感じるのだろうかなどと思った。
思えば野郎の裸なぞ毎日見ているというのに、何故その時だけ違って見えたのか、それは今でも分からない。
しかしそれは心の中に残り続けていたので、物事を内側に貯めておきたくない、というか貯めておけないタチの自分は、冗談交じりに話したのだった。
話してしまったというべきか。
”お前キモッ、いやいやマジで”
なんてリアクションを想定していたのだ。そしてオレも、”いや~、ビックリするよな~、実はこういう時に走るのかもしれねえな、男に”と、”男に”の部分を強調してニヤリと笑ってやろうとそこまで考えていたのだ。
しかし。
慎吾は少し考える風な仕草をした。そしてオレの顔を見た。
呟いた。
「アリじゃね?」
「……」
何も言えなかった。いや、言った。固まってしまった次の瞬間にはちゃんと言ったのだ。
「いやいや無いだろ。無いから。無いし」
三度言った。
「でもこういうのって、意外とノリじゃね?」
どこかのチャラ男風のノリで更に返された。
「つうか、試す価値はあると思うんだよオレ的に。意外と、新しい扉が開くかもしれないだろ。新たな夜明けを迎える的な?」
言っている事が良く分からないが、気が付けば慎吾の家へと連行されていたのだ。
「お前が何かギリギリだってのは伝わってたけど。根本的には何が無理なんだよ」
問い質される。
「いやなんか、お前の鎖骨が見えた瞬間、いや、ネクタイを解いてる時から、いけない事をしているような気が物凄くしてた」
「成る程」
うんうん、と分かったような相槌を打たれる。
「悪い事をしてる気になったと。でも嫌な感じとは違うんだな?」
「うーん、そうだな。そうと言える…のか?」
自分でも自分の心の内が分からない。しかし慎吾はまるで分かっているといわんばかりだった。
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何も考えずに急に書き始めました。
ちゃんと終わるのかは不明。
そして島和になったらごめんなさい。
でも最初の萌は島和だったんです自分!
ここで原点回帰を一度図ってみようかと思いましたが如何でしょうか。
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