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だらだらと。
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和己が、慎吾の父である悟が取締役を務める会社に入社し、また同時にヤクザ者となって三ヶ月が過ぎようとしていました。
平日は、まだ慣れない会社勤め。そして休日は下っ端ヤクザとして、屋敷の掃除洗濯炊事等々をしなければならないという過酷な条件下で、それでもせっせと頑張っていました。
精神的、肉体的疲労はどうしても感じるものの、それでも慎吾に会えなかった四年間を思えば、頑張れてしまうのでした。
慎吾は時々、夜に和己の部屋を訪れました。
あまり頻繁に行って他の人間に見咎められるのを危惧した兄の一吾に、言い含められてそうしていたのでした。自身も、バレるとまずいという事はさすがに分かっていました。
和己はというと、疲れ果てていても慎吾の顔を見ると信じられないくらい元気が湧き出てくるのでした。

そんなある日の日曜、和己はたまたま一吾に、書類を慎吾の部屋に届けるように頼まれました。一吾の弟分である和己が、公で慎吾に接触する事は日常、あまりありませんでした。

「慎吾さん、失礼してよろしいでしょうか」
和己は、島崎組において目上の人間である慎吾には敬語を使う事になります。
「どーぞ」
軽い返事が返ってきたので、ガラス戸を開け、一歩中へ入りました。
「一吾さんから、預かってきました書類です」
慎吾は机に向かって何か書き物をしていました。顔も上げず、「持ってきて。…あ、戸閉めろよ」と、そう言って手招きされます。
言われたとおり戸を閉めて書類を持って近づくと、突如服の首根っこを捕まれて口付けられました。驚きのあまり手にしていた書類を落とします。慎吾はそのまま十秒ほどそうした後、解放しました。
「び、びっくり…しま、し、」
目の焦点が定まらぬまま、それでも敬語で律儀に言葉を紡ごうとする和さんを制して、「敬語とかいいから」と慎吾は落ちた書類を拾います。
「お前は良くても、その、」
身体が固まった状態でまだどこか呆然としていました。
「誰もいねーし、見てねーだろ」
書類に目を通しつつ、慎吾は事も無げに言います。
「だ、だから、オレが敬語に慣れるのにどれだけ時間がかかったと思ってんだ!今だって切り替えるのに必死なのに!他の人間の前でうっかりタメ口ききそうになったらどうしてくれるんだ!」
和己の言い分は最もといえば最もでした。日頃は若頭の慎吾を出迎え、頭を下げ、粗相をしようものなら土下座してでも許しを請わなければならない立場です。それこそ厳しい縦社会であるヤクザ社会に於いて、和己と慎吾は天と地ほども違うのでした。
なのに夜になると慎吾が、ハートを一杯飛ばさんばかりの勢いで名前を読んで抱きついてきます。私事と公とを使い分けるのが一杯一杯である和己にとって、軽い拷問と言えなくもないのでした。
「もっと柔軟に構えようぜ」
のん気に慎吾は言います。
「無理だ。ここに来てはっきりと分かった。オレはそういう柔軟性とか適応性は無い!」
若干、疲れを覚えていた和己はすっぱり言い切ってしまいました。
「じゃ、命令」
冷たい目で、慎吾はそう言いました。
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唐突に、続きを書いてみました。
前回の更新が12/27でした…。
続きは何れ書くかと思います。多分。
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