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だらだらと。
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「和己」
冷たい眼光と差し出された手にふらふら寄りそう和己に、慎吾はのしかかるように抱きつきました。匂いを嗅ぎ、首筋にキスを落とし、うなじを撫で、耳元で囁きました。
「嘘だって。命令とか…」
嘘。嘘。和己は何度か慎吾の言葉を反芻しました。
「お前の部屋に行ったの三日前だろ。でもそん時疲れ果てて殆ど寝てただろ。ろくに触れてねーし、若干イライラきてたんだよ」
身体を離し、顔を見ると、そこにいるのはいつもの慎吾でした。しかし先程の冷たさを帯びた姿がどうにも頭を離れません。舎弟に怒鳴ったりしている方がまだしも可愛く思えてしまう程でした。慎吾は携帯を取り出すとボタンを押し、暫くして話し始めました。
「あ、あのさ、和己はこの後オレ確保だから。いーよな?」
そうしてフラップを閉じると手招きします。再び抱きつかれ、「そういう事だから」と言うものの何の事だか分かりません。そもそもこの後も和己には色々と用事があったのでした。
「そういう事って何がだ。一吾さんトコ戻らねーと」
「だから、兄貴と話つけたから」
「オレ何も了解得てないし。お前が良いって言ったって」
「だから、兄貴が『勝手にしろ』っつったんだよ。お前最近ずっと一吾さん一吾さんてウルサイ」
「…いやでも、五時から晩飯の手伝いしねーと」
なおも言い募る和己に慎吾が大きく溜息を漏らします。
「その書類、別に今日じゃなくてもいいんだよ。オレが和己に会えないって、ご飯食べながらぶうぶう文句垂れてたら、兄貴が『分かった』っつったの。だから今日はお前は何も気にする必要ねーんだって」
頭を摺り寄せつつそう言います。和己はようやく合点が行ったものの、後で何か言われないか、そんな我侭通して大丈夫だろうか、といった事を考えてしまうのでした。染み付いた上下関係は中々抜けません。
「和己」
名を呼ばれてはっとします。
「他の事考えんな。今はオレの事だけ考えてりゃいーだろ」
睨まれ、そういえば今はそうするしかないと頭を切り替えようとします。
「大体さぁ、お前休みにせっかく二人になれて嬉しくねーのかよ」
ベッドのある方向に腕を引かれつつ戸に鍵がかかってない事を思い出し、「鍵!」とガラス戸を振り返りました。
「誰も来ねえ」
苛立ちが募ったような声で言われ、「つーか待てねえ」と追い討ちをかけるように慎吾に凄まれ、今度こそ和己は観念したのでした。
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若干(?)島和のように見えますが、ちゃんと和島です。
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