忍者ブログ
だらだらと。
| Admin | Res |
<< 01  2025/02  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28    03 >>
[532]  [531]  [530]  [529]  [528]  [527]  [526]  [525]  [524]  [523]  [522
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

----------------------------------------------------
 翌朝、和己は未だ軋む腹を庇いつつ、出社しました。本当に大丈夫なのだろうかと腹の痣を見る度不安になり、結局は仕事帰りに病院に赴いたものの、医者には「内出血だね」と一瞥しただけで断言され、寧ろどうしてそんな酷い痣が出来たのかと問われ、返答に困る始末でした。

 やや遅い時刻に屋敷に帰り、部屋の襖を開けるとそこにいたのは慎吾でした。昨日のショックな出来事にすっかり忘れていましたが、詳しく色々話そうという約束を思い出したのです。
 しかし別の事実にも思い至ります。慎吾が和己の部屋を訪れるのは普段限られており(ケジメの為に他の組員に見つからない用に)、訪れた時には大抵コトに及ぶのが当たり前となっていたのでした。しかしそんな事になれば、腹の酷い痣が見つかるのは明白でした。そもそも激しい運動に耐えられそうにありません。そこで和己は、殊更疲れたように装うことに決めました。「どっこいしょ」などといっておっくうそうに腰を下ろします。慎吾からは「ジジ臭い」と容赦なくツッコまれました。
「組が立て込んでるときに限って、仕事まで忙しくてな」
などと言って溜息をついてみせます。更に「横になっていいか」と断って、布団を敷き、布団に潜り込みました。
「明日が土曜で良かったよ。疲れが取れなくて」
と言って慎吾の反応を伺います。
「マジでジジくせーよ。同い年の癖にそういう事言うなよ。こっちまで老け込むだろーが」
事情を全く知らない慎吾はどこまでも辛らつに言ってのけました。
「それはそれとしてよ、お前これからどーすんの?」
どうする、とは当然組を解散した後の事を指していました。
「実家戻んの?」
心なしか、慎吾の声が寂しげでした。
「…屋敷は出ないといけないからな」
実は何も考えていませんでした。というより、考える余裕が無かったのです。昨日の告白に端を発した一吾の行動に思いを馳せ、自分は確実に慎吾にとって有害だと捕らえられたと和己は感じていました。いや、元々見抜かれていたのです。大事な弟に、河合和己が何かをしたのだ、という事を。
「何考えてんの?」
慎吾が顔を覗き込んできます。何となく、その目を直視することが憚られました。自分には資格がないのだという思いに駆られます。自分が必要以上に慎吾に執着しなければ、慎吾は自分以外の相手をそのうち見つけていた可能性だってありました。しかしそれを和己は許すことが出来なかったのです。
 潮時かもしれない、と思いました。いづれにしても、一吾がこのまま黙っているとも思えませんでした。
「…慎吾」
「何」
深く深呼吸し、先程は外した視線を合わせました。そして口を開きかけると、それを慌ててさえぎられたのでした。
「何言おうとしてんの。何か嫌なこと言おうとしてるだろ。何か、オレから離れようとか考えてないよな。嫌だからな」
何かを決心したような和己の表情に、慎吾が先手を打つように言います。
「慎吾」
「駄目だよオレもう。無理だって。数年前はまだ、大丈夫だったかもしれないけど、絶対もう無理だって。お前がもし別れようとか言ったとしても、それを自分にそれを理解させようとか、そんな努力出来ない」
慎吾の取り乱しように、和己は黙って見ていることしか出来ませんでした。これが自分のやった事に対する結果だと思いました。自立していた人間を、依存の方向へと追いやった事の。
「慎吾、違うから。言ってなかったことがあるから、それをお前に言おうと思って」
「それって何だよ…」
慎吾の警戒心はまだ解けていないようでした。出来ることなら耳を塞ぎたいといいたげでした。
「お前と初めてホテルに泊まった時の事覚えてるか。オレの誕生日だった」
「…そりゃ覚えてるけど」
「初めて男を抱く、ってなって、オレは内心ビビってたんだ。ちゃんと上手くいくのかって。お前のことは好きだったけど、またそれとは問題が違ってくるっていうかな」
「……」
「でも結果的には心配なんて吹き飛んでた。お前の虜になってた。良く分からないけど、お前は凄く魅力的だった。色気があった。それに誘われるままいつまででもお前の体を貪っていたかった」
慎吾はわずかに顔を赤らめ、俯きました。
「その後思ったんだ。お前を誰にも渡すもんか、ってな。その為に何でもしてやる。手段がどうだろうが、そんな事は構わない。お前の意思なんか知らない。オレは他の奴の誰にもお前に触れさせるもんかと思った。そしてそれを行動に移した。お前を殊更大事に扱った。オレ以外に目が向かないように。お前を抱きしめて、好きだと囁いた。オレ以上にお前を愛せるものはいないんだと思わせようとして。唯一無二の人間なんだと信じ込ませようとした。いなくなったら生きていけないんだと、そんな風に思わせようとした」
慎吾は微動だにせず、話を聞いていました。聞いているというより、ただ呆然としているようにも見えました。
「お前が卒業と同時に連絡の一切を経った時、オレは何て思ったと思う?失敗したと思ったんだ。上手く行っていたはずなのに、慎吾は手を離してしまった。どこで間違えたんだろうと思った。このままだと、お前はオレを伴わない人生を歩んでしまう。そんな事は許せない、って」
----------------------------------------------------


これまでと違って、一気に書いたものを小分けして載せているので、切りどころが無かったりします。
なので今回は長くなりました。


>映画「天/使と/悪魔」を観ました。感想(?)は続きからドゾ。若干ネタバレかも。

ユアンが出てて気になってはいたのですが、すっかり記憶の彼方にありました。
普通に楽しめたと思います。最後の大逆転があるのも、アメリカの小説らしい気がします。
ヒロイン(?)が本のページを千切り取ったシーンでは、有り得ねええ!と心の中で叫んでしまいました。一体過去の貴重な本を何だと思っているのだと。

この映画を、バ/チカンはどう思ってるんでしょうか。あくまでエンターテイメントだから何とも思わないのか、それともこれは無いだろう、と思っているのか。
キリスト教徒でも何でもないですけど、凄く神聖な存在というイメージがありますから、内部にこんな犯罪を起こす人間が居るというストーリーって大丈夫なのかと思ってしまったりします。よりによって教皇をですよ。

個人的には、ユアンは相変わらずちょっと独特の発音というか、英語が可愛かったです。
どう考えても可愛い。いくつになったかしらないけど可愛いです。
しかしカメル/レンゴって言い辛いですね。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
Mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ表示(チェックを入れると管理人だけに表示できます)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
夜桜お慎89     HOME     夜桜お慎87
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析

Powered by Ninja Blog    Material by mococo    Template by Temp* factory
Copyright (c)3足のワラジ All Rights Reserved.


忍者ブログ [PR]