だらだらと。
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本山が助言をした翌日の昼休み、和己は弁当を持って4組に現れた。
昨日と同じ屋上へ、今度は誘われてついていく。
今日も快晴で、日差しがギラギラと肌を刺激する。やはり日陰に座ると、和己は大きな弁当箱の蓋をまず開けた。そこには多すぎるように思えるおかずが詰まっている。その弁当箱を本山に差し出した。
「取っていいぞ。から揚げ二つ。それと玉子焼きも」
「何だよ、良い事あったのかよ」
それは、教室に和己が現れた瞬間から何となく分かっていた。表情は生き生きとしていて、機嫌が良さそうだった。加えて、おかずを食べて良いという。これはもういわずもがなといったところだ。
「モトヤンのおかげだ。…上手くいった。ありがとな」
「オレの読みどおりだった?」
遠慮なくおかずを拝借しながら問うと、おう、と二日前とは比べ物にならない晴れやかな笑顔が返ってきた。
「相談してよかった」
万感の思いが篭ったような顔をして暫し天を仰ぎ、それから水筒のお茶を飲み干した。
「上手く言ったんだけど、最後に”気ぃ抜いてほっといたら、またするかもよ?”なんてちょっと脅されたけどな」
「お前それは、”ほっといたら浮気しちゃうんだから!”っていう可愛い忠告だろ」
可愛い、なぁ…と和己は一人ごちて、弁当の白飯を口いっぱいに頬張った。
「でも浮気なんてそうそう許しちゃ駄目だからな。そこんとこはしっかり言っとけよ」
「分かってる」
「なぁ、そういえばさ、何でオレに相談したんだよ。他に適任がいただろ、慎吾とか」
すると「うん、まぁ…」と和己は言葉を濁した。
「慎吾以外にも、山ちゃんとかマサヤンとか」
貰ったから揚げを租借する。冷めていても、それはとても美味しかった。
「休憩時間に、たまたまモトヤンと二人だったから」
「はぁ?」
そこは、頼りになりそうだったからとか、そういった言葉を多少なりとも期待していたのだが、和己は深く考えずそう言ってのけた。これが我がチームのエース相手だったら、気を使って別の言葉を用意しただろう。
少なからずがっかりしたが、しかし相談してよかった、という和己が言った言葉を思い出して気を取り直す事にする。
「ちゃんとさ、誕生日にはプレゼント贈れよ?んでヤっちまえ」
そう言うと和己の箸が止まり、「お前な…」などとモゴモゴ言った。照れるのも仕方は無いとは思うが、これだって必要なことだと思った。
「慎吾、抱きしめても良いか」
「いちいち聞くなよ」
下校途中の分かれ道で、暗がりの中で和己は慎吾を抱きしめた。たっぷり時間をかけて、感触と匂いを確かめる。
「お前の誕生日、いつだ?」
唐突な問いにぱちくりと瞬きをして、「9月21日」と答えると、「プレゼントやるから」と返ってきた。
「プレゼントも良いけどさ…」
どこか不満を帯びた声で慎吾が呟く。
「もっと進みたいんだけど」
否応無く、昼休みの本山の助言が甦り、和己は顔を真っ赤にしたのだった。
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終了です。文章難しい。ホント今更ですが。
本山が助言をした翌日の昼休み、和己は弁当を持って4組に現れた。
昨日と同じ屋上へ、今度は誘われてついていく。
今日も快晴で、日差しがギラギラと肌を刺激する。やはり日陰に座ると、和己は大きな弁当箱の蓋をまず開けた。そこには多すぎるように思えるおかずが詰まっている。その弁当箱を本山に差し出した。
「取っていいぞ。から揚げ二つ。それと玉子焼きも」
「何だよ、良い事あったのかよ」
それは、教室に和己が現れた瞬間から何となく分かっていた。表情は生き生きとしていて、機嫌が良さそうだった。加えて、おかずを食べて良いという。これはもういわずもがなといったところだ。
「モトヤンのおかげだ。…上手くいった。ありがとな」
「オレの読みどおりだった?」
遠慮なくおかずを拝借しながら問うと、おう、と二日前とは比べ物にならない晴れやかな笑顔が返ってきた。
「相談してよかった」
万感の思いが篭ったような顔をして暫し天を仰ぎ、それから水筒のお茶を飲み干した。
「上手く言ったんだけど、最後に”気ぃ抜いてほっといたら、またするかもよ?”なんてちょっと脅されたけどな」
「お前それは、”ほっといたら浮気しちゃうんだから!”っていう可愛い忠告だろ」
可愛い、なぁ…と和己は一人ごちて、弁当の白飯を口いっぱいに頬張った。
「でも浮気なんてそうそう許しちゃ駄目だからな。そこんとこはしっかり言っとけよ」
「分かってる」
「なぁ、そういえばさ、何でオレに相談したんだよ。他に適任がいただろ、慎吾とか」
すると「うん、まぁ…」と和己は言葉を濁した。
「慎吾以外にも、山ちゃんとかマサヤンとか」
貰ったから揚げを租借する。冷めていても、それはとても美味しかった。
「休憩時間に、たまたまモトヤンと二人だったから」
「はぁ?」
そこは、頼りになりそうだったからとか、そういった言葉を多少なりとも期待していたのだが、和己は深く考えずそう言ってのけた。これが我がチームのエース相手だったら、気を使って別の言葉を用意しただろう。
少なからずがっかりしたが、しかし相談してよかった、という和己が言った言葉を思い出して気を取り直す事にする。
「ちゃんとさ、誕生日にはプレゼント贈れよ?んでヤっちまえ」
そう言うと和己の箸が止まり、「お前な…」などとモゴモゴ言った。照れるのも仕方は無いとは思うが、これだって必要なことだと思った。
「慎吾、抱きしめても良いか」
「いちいち聞くなよ」
下校途中の分かれ道で、暗がりの中で和己は慎吾を抱きしめた。たっぷり時間をかけて、感触と匂いを確かめる。
「お前の誕生日、いつだ?」
唐突な問いにぱちくりと瞬きをして、「9月21日」と答えると、「プレゼントやるから」と返ってきた。
「プレゼントも良いけどさ…」
どこか不満を帯びた声で慎吾が呟く。
「もっと進みたいんだけど」
否応無く、昼休みの本山の助言が甦り、和己は顔を真っ赤にしたのだった。
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終了です。文章難しい。ホント今更ですが。
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