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だらだらと。
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 慎吾との始めての旅行はそれは楽しいものとなりました。大正ロマンの雰囲気が随所に感じられる宿は、それは新鮮なものでした。
 仕事の役に立つのではと、デジカメを取り出して和己は写真を沢山撮り、慎吾にいい加減にしろとたしなめられる程でした。

 楽しい旅行から帰ると、和己はいよいよ屋敷を後にすることとなりました。組員達は、足を洗うもの、島崎組が経営していた金融部門に専念する者、傘下の組に入るもの、様々でした。
 また屋敷を出た後は二人暮しを、という話を和己達はしていたものの、何も具体的な話は決まっていなかった為、和己はひとまず実家へと帰りました。その後慎吾との話し合いを持ったのですが、問題がいくつか立ちふさがりました。
「オレ、料理とか出来ねえよ。つうかやった事ねえし。どうすんの?」
とまるで他人事のように慎吾は言いました。しかしそうは言ってもご飯を作らなければ暮らしていけません。和己は組に勤めていた間にご飯の支度の手伝いをさせられたものの、一人で作ったことはありませんでした。
「何とか作るしかないだろ。二人で」
すると慎吾は即座に「無理」と切って捨てます。
「いやだって料理とか。有り得ねえって。男は台所に入るなって言われてきたし、それが毎日料理とか絶対無理」
端から投げ出すような物言いに、さすがに腹が立ちます。
「そんな事言ったって二人で暮らすんだぞ。オレに全部やらす気か?料理以外にも色々あるだろ。掃除洗濯とか。ゴミ出しに風呂掃除に…」
すると慎吾はあからさまに顔をしかめました。
「ホントにそれ二人で全部やんの?んな事やってたら一日終わっちまいそうじゃね?仕事から帰ってきてそんな事までやりたくない。つうか、やった事無いし。オレヤダ」
「お前が一緒に暮らそうっつったんだろうが!」
「そんな大変だと思わなかったんだよ。てか世の中の一人暮らしの人間は皆そんな事やってんの?すげーな」
感心したように言います。和己は今更ながら、慎吾の生まれについて気付かされる思いでした。
「お前ホントに何もして来なかったんだな。箸より重いもの持ったことないってか。あ、バットは持ってるか」
「何かオレの事馬鹿にしてね」
「してる。残念ながら。でも仕方ないな。そういう風に育ってきたわけだから」
 そして考えた挙句、二人暮しは無理、という判断を和己は下しました。慎吾は酷く不満げでしたが、家事が出来るのかと言われると、口を尖らせるだけで何も言う事が出来ないのでした。
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ストックが切れたわけですが、ゴールは近いはずなのでぼちぼち頑張って行きたいと思います~
拍手とか有難うございます~(^^)
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 実際に腹を括ったのは、それから五日も後の事でした。怖かったのです。
 慎吾からは容赦なく「ヘタレ」と罵られました。
「何か用か」
 一吾の部屋へと赴くと、忙しそうに書類に目を通している姿がありました。
「慎吾の事で、お話が」
「何だ」
短く切り返してきます。余程忙しいようでした。
「単刀直入に言うと、慎吾と別れることは出来ません。何より大事に想っていますし、自分のした事の責任を取って、これからも共に生き続けていきたいと思っています」
そう言って、畳に擦り付けんばかりに頭を下げたのでした。
 一吾はそれを一瞥すると、「それで?」と言います。
「あ、いえその。それだけですが。しかし一吾さんにはちゃんと話を通しておくべきだと」
「お前は」
書類を捲ります。
「自分にどれだけの価値があると思ってる?」
「え?」
思ってもみない質問に、たじろぎます。
「仮に慎吾が、お前の事を好きじゃなくなったとしよう」
目線は相変わらず書類の上にあります。
「そうしたらお前は用済みだ。必要ない」
「……」
思わず、絶句します。
「しかし慎吾は今の所お前が好きだと言ってる。しかも恐らく長続きするだろう。だから、腹に一発くらう程度で済んでる」
なくなったはずの腹の痛みが、ぶりかえしてきたような気さえしました。
「間違ってもお前が慎吾を一方的に振ろうとしたら、オレは全力でもってそれを阻止する。お前の意思に関係なくだ。何故ならオレは今までそうやってきたからだ。これからもそうする」
書類に何やら書き込みをし、拇印を押しました。
「それだけだ。下がっていいぞ」
ほぼ一方的に、一吾との話は終了したのでした。


「というわけなんだが…」
 事の次第を、慎吾に話して聞かせました。分かった事は、自分は島崎家から解放される日は訪れないという事でした。しかし慎吾を愛している限り、問題は無いといえば無いのです。とはいえ、やはり告げられた内容は、鳥肌を立たせるのに充分なものなのでした。
「まぁ、これまでもそうだったから」
慎吾はあっさり言いました。
「ちょっとブラコン入ってんだよ、ウチの兄貴。オレもそれに甘えてたかも」
ちょっとどころじゃないだろう。と言いたいのは山々でしたが、言っても余り通じそうに無いので止めました。
「まぁこれで二人暮しも問題ねえだろ?」
打って変わって慎吾はうきうきと言い出しました。問題は、未だ残っているような気がするのですが(慎吾の親の了解を得ていない事など)、今は考えないことにしました。
「とりあえず、旅行行くか…」
溜息と共にそう吐き出したのでした。
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しかしパラレル話がこんなに長く続くとは思ってませんでした。
当初は何も考えてなかったわけですが。
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 それから後は、今後の事について話し合いました。和己は実家へは帰らず、少し貯金も貯まったので賃貸マンションに住む事を決めました。また、ごたごたの中で忘れ去られそうになっていた旅行へ行くことも。
「あのさ、オレも一緒に住んじゃ駄目…?」
慎吾が伺うように切り出してきます。
「そりゃ、オレとしちゃ嬉しいんだけどな。…嬉しいんだけど、一吾さんがどう思うかだよ…」
思わず、遠い目になります。一吾とはあれ以来顔を合わせていませんでした。合わせるのが怖くて避けていたのですが、そもそも組関係の事で忙しくあちこちで歩いているようでした。
「ホントにあの時は怖かった。それで凄い痛かったんだよ。正直ナメてたのかも。極道を。もうゴメンだ。そりゃ、ずっと顔合わせないわけにはいかねえけど」
「でももう大丈夫じゃね?上手く纏まったしさ」
しかし、一吾がそう取ってくれるかは怪しいところでした。一吾の言い分は正論で、なんら言い返す事は出来ないのです。
「一吾さんは、お前の事を凄く大事に思ってるんだよ。だから、はいそうですか、なんて言ってくれないと思うし。自重しないと駄目だと思う」
「自重って!オレら何年間自重してきたんだよ!もう沢山なんだよ」
「でもなぁ…」
頭を悩ませます。
「大丈夫だって。オレから兄貴に言っとくから。もう問題無えっつって」
慎吾がそう安請け合いします。
「ちょっと待て。お前の軽いテンションがオレは不安だ。一吾さんに悪く取られて、逆に悪化したらどうする」
「信用しろって」
いつもの軽い調子で言います。
「悪いけど、こういう事に関しちゃお前を信用できない。そもそもお前は家族だからそんな楽観的で居られるんだ。向こうからしたら、オレはお前をたぶらかした男なんだからな」
 すると慎吾は少し考え込み、暫くすると昔話を始めました。小さい頃から、極道一家という事実に孤独感を抱いていた事。隠さなければならない事実に、兄弟二人、そして木下と共に耐え、孤独を互いに紛らわせてきた事。そうして自然と人一倍に絆が強くなっていった事などです。慎吾は小学生の頃から野球に打ち込み始める一方で、一吾は跡取りとしての義務と、自分たちを守るために様々な格闘技を覚えたといいます。
「兄貴はオレが泣きつくと大抵、解決してくれたし」
例えば、慎吾が中学の頃に髪の色が明るい事を他の同級生に咎められ、因縁をつけてきた際には相手をボコボコにしたといいます。
「そん時はさすがに、あんま頼りすぎても駄目だと思ったけど」
そして和己が初めて屋敷に来た時、慎吾の家の事情を知って帰って行った後も、つい一吾に泣きついたと言うのでした。
「もしかしたら和己がオレの事捨てるかも、どうしよう、って。したら兄貴が”河合君はお前の側からいなくなったりしない”って確約してくれた」
「待てお前、そんな事言ったのか」
「うん。何だかんだ言って頼りになるからな。ぶっちゃけ家に居ない親父より」
 和己は空恐ろしくなりました。それなら腹に一発食らうのも当然といえば当然で、仮に慎吾と別れるなんて判断を下したら、それこそ恐ろしい目に遭うのは目に見えていたのでした。そんな気は更々無かったものの、もう一度しっかり一吾と相まみえる必要はありそうでした。
「組長がいない屋敷で、きっと一吾さんはお前の父親代わりの部分もあったんじゃないのか。そうなるとやっぱり、ちゃんと話を通さないと駄目だな」
腹をくくるしかないのだと、自分に言い聞かせるのでした。
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終盤も近くなり、振り返って思うのは、この話は和さんの試練話だな~って事です。
慎吾は慎吾でしんどいですけど。
タイトルの夜桜お慎が寒々しくもありますが、一応最後にまた桜は出そうと思ってます。
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「お前、演技だったのか?」
だとすると和己にとっては少なからずショックな事実でした。
「違うって。あくまで取り入れるべき要素っつうか。うーん、演出つった方が良いかな」
和己は二の句が告げませんでした。まさかそんな事を実践していたなんてと。
「それにさ、オレちょっと気付いてたんだよ。お前が故意にかどうかは分からないけど、あの夜の翌朝さ。お前の言葉を信じちゃったらきっともう戻れないって。だけど、オレはお前の手を取った。ヤクザって後ろ暗い事情があったからいずれ手を離さざるを得ないのに気付いてたけど、それでも、それ以外の選択肢を選べなかった。好きだったから。今も好きだ。捕まってるっていうならオレは、最初から捕まってたんだきっと。あの日、それが決定的になっただけで」
「オレを擁護してるだけじゃないのか」
「ちげーよ。自惚れんなよ」
いたずらっぽく慎吾は笑います。和己が思っていたより慎吾は冷静で、あの日の取り乱しようはまるで無かったかのようでした。自分が、慎吾をたぶらかしていたと、勘違いしていただけだったような気さえしてくるのでした。
「本当にお前は、オレには勿体無い男だよな」
「何、今頃オレの有難みに気付いた?」
笑いながら言う慎吾はすっかりいつも通りの様子でした。しかし少し間を置いて、伺うように言いました。
「じゃあもう、別れるとか言わないよな…?」
急に不安げな顔を覗かせます。
「別れるなんて一言も言ってないだろ」
「でも、そういう流れになってもおかしくない雰囲気だったから」
「別れねえよ。お前が嫌だっつっても居るぞ。お前の方こそどうなんだ。もう遅いからな。嫌がったって付きまとうぐらいはやるぞ、オレは」
「こえ~」と言いながら笑います。慎吾の笑顔に、和己はようやく心の平安を幾分取り戻すことが出来たのでした。
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拍手有難うございます。よしまた書けるぞ~!という気になります。
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 一方、和己は会社の昼休みをぼんやりしながら過ごしていました。珍しく食欲が湧かず、義務のように食堂でご飯を口に運びながら、全く別の事を考えていました。
(本当に、洗脳したわけじゃない。ただ、そうなれば良いと思って行動しただけだ。いや、それは充分悪どい。それは分かってる。それでも、恋愛なんてそんなもんじゃないのか。振り向かせるために、男だったら何だってするだろう。…いや、そうじゃない。慎吾は既に、オレに好意を抱いてくれていた。それに付け込む様に行動した。思考は明らかに負の方向に働いていた。そして、慎吾には間違いなく作用していた。それを裏付ける事を一吾さんが言っていた。”慎吾が何かに気を取られている。””何かに捕われているようだった””お前がいないと生きていけないと”)
いくつかの台詞が鮮明に思い出されました。そして慎吾が、自分から離れていくのではと過敏に反応した事実が甦り、もうどうしたって自分は有罪なのだと、和己は何度目かの同じ結論を導き出していたのでした。


 午後十時を回った頃、慎吾は和己の部屋を再び訪れていました。
「話したいんだけど」
ぽつりと呟きます。和己は少し戸惑っていました。もう少し慎吾にはじっくり考え、冷静になる時間が必要だと思っていたのです。
「オレは、お前が好きなんだよ。それじゃ駄目なのかよ」
「…駄目ってわけじゃない。だけど、そこに至った過程が問題だ。お前にした事の…」
「そんなんオレだって、オレだって少しは考えたし」
「…何をだ?」
「和己に抱かれたかった。欲情して欲しかったから、何か色々研究したし」
「慎吾、そういうレベルの話じゃないだろ」
「そうだって!だってDVDとか超見たし。何か、虜に出来るような色気とか醸し出せないかな~って」
「…そうなのか?」
初めて聞く話に困惑を隠せません。あの夜の慎吾は、計算していたとでも言うのでしょうか。あの夜に限らず、これまでも。
「”極道の妻たち”って映画あるだろ。アレに出てくる女優の研究とか。独特の色気あるよな。なまめかしいっつうの?後は”仁義無き戦い”とか」
「本物の極道が、そんな映画見るのか?」
問うべき所は別にある気はしましたが、とりあえず気になった事を指摘してみます。
「”仁義なき戦い”は結構人気あんだよ。こっちの世界でも。そもそもノンフィクション小説から作られた映画だから。ただ、”極道の妻たち”は完全にフィクションだけど。男社会だから、女があんな出張って来ないし」
「で、それをとにかく研究したのか…?」
「うん。どうだった?ぶっちゃけ抱かれるなんて生まれてこの方体験した事無いからさ、こりゃどうにかしねえとなって思ったんだよ。マグロじゃ良いと思ってくれないかもだし、下手したら立たねえかもだし。だから、不自然じゃない程度に女優の色気を手本にしてみた。一応本物だし、いい感じに色気出ねえかなって。どう?実は気になってたんだけど」
どう?じゃねえだろう…と慎吾に思い切り突っ込んでやりたい気持ちで一杯でした。あの日の夜が全ての始まりだったと言っても過言では無かったのです。ただ、質問に答えるとするなら”最高に良かった”としか言えないのですが。
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>ギ/ネの最終回を見逃しました。
最終回に限って見逃してしまうのは前にも何回かあって、なんだかもう、自分が残念すぎます。

>まだク/ローズZER/Oを引きずってます。
人の国士/無双をォ~!ってキレる多摩/雄が良かったなぁ…。
ていうか、多/摩雄が何かやってる時は大体例外なく面白可愛いです。
一作目と二作目をそれぞれ二度観ようとしたのですが、続編の途中で『テレビみせてくれ』と親に拒まれて、返却せざるを得ず。

しかしこの映画のヒロインは時/生だと思うんですが、どうですか。
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