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だらだらと。
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>お慎
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「この部屋寒い」
暫く抱き合った後、身体を離すと慎吾がそう言いました。
「あぁ…だから布団は二枚重ねだし」
「なんでこんな寒い部屋なの」
「下っ端は、幹部を出迎えたり応対したりとかで、この部屋に決まってるみたいだ」
「ふうん」
「なんか、ヒーターもあるらしいから、出すか」
そう言って、立ち上がろうとする和さんのトレーナーの裾を慎吾が掴んで止めました。
「オレ風呂入ってきたし。…お前と抱き合ってれば暖かくなるだろ?」
そうして見上げられたら、もうやる事は一つなのでした。お互いに慌しく服を脱ぎ捨て、布団の上に倒れこみました。慎吾は、抱き合えなかった三ヶ月を埋めるかのように和さんに普段よりも一層キスを求め、和さんもそれに答え、久しぶりに二人は共に夜を過ごしたのでした。

朝の六時半に、携帯のアラームで二人は目を覚ましました。和さんは慌てます。
「慎吾、早く部屋に戻れ」
本当は事がすんだ後に一旦慎吾を部屋に帰そうとしたのですが、嫌がったために早朝に戻るという約束でそのまま寝てしまったのでした。
「でも眠い」
本当に眠そうにして言いますが、構っていられません。
「早くしねぇと、他の組員さんが起きてきちまうだろ。オレの部屋から出てくとこ見られたらオレは組に入った一日目で追い出されちまうだろうが。つうかそれだけで済めば良いけど、済まないだろ多分」
焦って慎吾を追い立てますが、慎吾はいかにも面倒くさそうに、「分かったよ」と言いながら服を身に着け始めました。和さんは出勤の支度を始めます。スーツを着終わった後にようやく慎吾も出て行く準備が出来たかと思いきや、「スーツって良いよな」とのんびり言い出しました。
「実は昨日も良いと思ってたんだよ、スーツ。何か燃える。今度スーツのままでさ、脱がしてヤんねぇ?」
「言ってる場合か、早く行け!」
相変わらず緊張感に欠け、ぶうぶう文句を言う慎吾を部屋から出したのでした。
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>19日に拍手コメントくださった方。
ブログの更新を楽しみにしてくださっているとの事で有難うございます!そろそろ一旦一区切りをつけようと思っているのですが、まずはそれまで頑張ろうと思います。


>お慎
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部屋で一人になると、和さんは真っ先に慎吾に携帯をかけました。
「…何」
「慎吾、ごめんな。本当にごめん」
「……おれは、お前にこっちに来てほしく無かった」
「お前がそう思うだろうってのは、分かってた。なのに相談もなしに決めちまって、本当に悪かった。だけど、お前の身近な所に、近い位置に居たかった。誰よりも。お前が考えてるより、オレはお前に対して必死なんだ。親父さん…組長にはああ言ったけど、本当は誰にも譲りたくないし、ずっと縛り付けておきたい」
「んな事しなくても、ずっと好きだよ。そんな事分かってると思ってた。だから、四年間だってずっと耐えてきたんだろ」
「…そうだな」
「もういい」
「慎吾」
「もう、どっちにしろ決まっちまった事だ。一旦こっちに来たら、もう簡単には戻れない。そういうとこだから」
「分かってる」
「…じゃあ」
慎吾が携帯を切ってしまいました。慎吾がまだ許してくれていないようで、距離が開いてしまったようで和さんは不安になります。あまりに突然で、簡単に受け入れて貰えないかもしれないとは考えていましたが、思っていたよりも慎吾はこの事態を重く受け止めているようでした。


その夜、持ってきた荷物を片付け終え、共同風呂に入って歯も磨き、後は寝るだけとなった状態で、和さんは布団に寝転びながら思い悩みます。
ずっと慎吾と共に居るために取った行動が、失敗だったのかと。しかし大学生活が残り一年を切った時点でもう考えていたことでした。就職活動ではあらかじめ慎吾から情報を得、会社に入る事を決めていましたし、その後の事も徐々に決心を固め、実行に移した事でした。しかしそれは慎吾にとってはとても受け入れられない事だったのかと心配になります。不安で心臓のあたりがぎゅうっと締め付けられるような感じさえありました。
時刻は十一時を回り、部屋は久保という男が言っていたようにとても寒いところでした。あらかじめよこしてくれた(粗野なところはあるものの根は良い人物のようです)掛け布団をもう一つ上に重ね、今は何も考えずに寝ようと思いました。明日からはこの屋敷から会社へ出勤する事になります。寝坊は禁物でした。
と、ごんごん、と控えめに襖がノックされました。久保さんだろうか、と襖を開けると、そこには慎吾がいたのでした。
「慎吾。…どうした?」
「……」
俯いていて何も言わない慎吾を取り合えず、寒いだろうと中へ入れます。
「まだ、」
「ん?」
何か小さく慎吾が呟きました。
「まだ触ってない。三ヶ月ぶりなのに。ずっと待ってたのに。張り切ってお前を迎えにまで行ったのに、まだ全然触ってない…。お前が」
その慎吾はまるで、泣き出しそうな小さな子供のようでした。
「お前が突然組に入るとか言い出して、ばたばたしたから。…お前は平気なのかよ。おれずっと」
瞬間、慎吾を抱きしめました。力を籠めて。
「ごめんな」
「謝ってばっかじゃん」
「そうだな、ごめんな」
後はただ二人とも無言で抱き合うのでした。
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>お慎でもし本を作ったら、ビジュアル的に凄く楽しくなりそうだなと思うんですが、これで本というのはどうなのかなとも思うわけです。思いつきで書いていますし。会話文ばかりですしね…。でも、和風な素材とか、スーツな慎吾とか和さんとか楽しそうだなと。でもオリキャラとかマイ設定の慎吾家族とかも出てきてしまうわけで。うーん、微妙かなぁと。



>お慎
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そして次の日、一吾と和さんとの間で杯が交わされました。簡略化されたものという事でしたが、それでも数人の組員と慎吾が見守る中、一吾が杯に注がれた酒を飲み、更にその杯を和さんが受け取って飲み干しました。
「じゃあ、これから宜しく頼む。皆も、河合の事を面倒見てやってくれ。色々と分からないこともあるだろうからな」
「はい」
そうして一吾と、他の組員が一人を残して部屋を後にしました。その残った組員が、声をかけてきました。
「オレは久保っつうもんだ。分かんねえ事があったらオレに聞けよ」
そして付いて来いと言うので、和さんは部屋に残ったままの慎吾を振り返りつつも付いて行きました。
廊下を歩いている間、どこかその久保という男には見覚えがある気がして記憶を探っていた和さんですが、ようやく思い出しました。
確か、初めてこの屋敷に訪れた際、慎吾と顔を合わせた部屋で、スリッパを投げつけられていた人物でした。
「あの」
「何だ」
「久保さんは、慎吾…さんに付いてらっしゃるんですか?」
「ん…?そうだ。何で知ってんだ」
「四年ほど前に、慎吾さんと一緒の部屋にいるのを見かけた事が」
「…あ?お前、あん時のガキか!坊ちゃんと抱き合ってたヤツか」
抱き合ってた、の台詞に一瞬冷や汗が噴出しそうになりましたが、「そうです」と努めて冷静に返します。
「坊ちゃんのダチだからって関係ねえからな。これからは立場をわきまえて行動しろよ」
「はい」
そして連れて行かれたのは、屋敷の玄関に近い所にある六畳一間の座敷でした。
「今日からここがお前の部屋だ。ぶっちゃけすげー寒いからな。布団は二重にかけるぐらいで丁度いいぐらいだ。一応ヒーターもあるけど」
「はい」
「いいか、まず組長や姉さん、一吾さんや坊ちゃん、それに幹部あたりがお戻りになったらすぐに玄関の外に出て『御勤めご苦労様です!』って出迎えろ。それと、インターホンの対応もしろよ。殆ど来ねーけどな。それとお前は平日は出勤って聞かされてっから土日だけになるけど、朝は六時に起きて玄関掃除。それにトイレ掃除に風呂掃除に洗濯もな。そしてこの長~い廊下を雑巾がけだ。はっきり言って部屋の掃除まで手が回んねーからそれはしなくていい。終わったら電話番しとけ。滅多にかかってこねえけどな」
まるで修行僧のような生活だと思いました。この屋敷が寺並みに広いものだから尚更です。
「荷物は持ってきたか」
「はい、必要なものを取りあえず」
「そうか。なら今日は片付けでもしてろ。ウチの仕事は来週からで良い」
「はい」
「いいか、極道っつーのは、上下関係が絶対だからな。上のモンがやれと言ったらやるんだ。白でも黒といったら黒なんだからな」
「…肝に命じます」
「よし、じゃあ精々頑張れよ」
そう言って久保は部屋を後にしました。
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>慎吾オンリーが拡大されてました…!行きたい…。
こうなったら高速バスでとか…いやいや、移動時間が多分7時間半とかかかっちゃうし。
特急で3時間半ですら辛かったのに無理だろう。いやしかし行きたい…
という気持ちがせめぎあってます。
>お慎(短くてすみません…。)
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「慎吾、怒ってるか、まだ」
「…当たり前だろ」
慎吾の声にはこれまで聞いたことのないほどの怒りが感じられました。
「許してくれ。こうする事しか思いつかなかった。お前の側にいるには」
「何でだよ!普通に付き合えばいいじゃねえか!何でわざわざこっちに来る必要があるんだよ。組にいる限り、色んなものに捕われる。ウチはまだ緩いけど、それでもヤクザなんだよ」
「だけど、お前も歩いてきた道だろ?」
「オレとお前じゃ全然状況が違う!」
何故分からないんだと言いたげに、もどかしそうに慎吾は言います。
しかし和さんには別の思いがありました。
(お前は一癖も二癖もあるように思われてるけど、性根の部分では凄く正直で良いヤツだ。だから、感じなくてもいい責任を感じてる。オレはまたお前を縛ったんだ。お前の為にオレが組に入ったという事実が、お前を縛るんだ。オレの事で責任を感じている限り、お前はオレから離れられないんだ)
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