だらだらと。
>19日に拍手コメントくださった方。
ブログの更新を楽しみにしてくださっているとの事で有難うございます!そろそろ一旦一区切りをつけようと思っているのですが、まずはそれまで頑張ろうと思います。
>お慎
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部屋で一人になると、和さんは真っ先に慎吾に携帯をかけました。
「…何」
「慎吾、ごめんな。本当にごめん」
「……おれは、お前にこっちに来てほしく無かった」
「お前がそう思うだろうってのは、分かってた。なのに相談もなしに決めちまって、本当に悪かった。だけど、お前の身近な所に、近い位置に居たかった。誰よりも。お前が考えてるより、オレはお前に対して必死なんだ。親父さん…組長にはああ言ったけど、本当は誰にも譲りたくないし、ずっと縛り付けておきたい」
「んな事しなくても、ずっと好きだよ。そんな事分かってると思ってた。だから、四年間だってずっと耐えてきたんだろ」
「…そうだな」
「もういい」
「慎吾」
「もう、どっちにしろ決まっちまった事だ。一旦こっちに来たら、もう簡単には戻れない。そういうとこだから」
「分かってる」
「…じゃあ」
慎吾が携帯を切ってしまいました。慎吾がまだ許してくれていないようで、距離が開いてしまったようで和さんは不安になります。あまりに突然で、簡単に受け入れて貰えないかもしれないとは考えていましたが、思っていたよりも慎吾はこの事態を重く受け止めているようでした。
その夜、持ってきた荷物を片付け終え、共同風呂に入って歯も磨き、後は寝るだけとなった状態で、和さんは布団に寝転びながら思い悩みます。
ずっと慎吾と共に居るために取った行動が、失敗だったのかと。しかし大学生活が残り一年を切った時点でもう考えていたことでした。就職活動ではあらかじめ慎吾から情報を得、会社に入る事を決めていましたし、その後の事も徐々に決心を固め、実行に移した事でした。しかしそれは慎吾にとってはとても受け入れられない事だったのかと心配になります。不安で心臓のあたりがぎゅうっと締め付けられるような感じさえありました。
時刻は十一時を回り、部屋は久保という男が言っていたようにとても寒いところでした。あらかじめよこしてくれた(粗野なところはあるものの根は良い人物のようです)掛け布団をもう一つ上に重ね、今は何も考えずに寝ようと思いました。明日からはこの屋敷から会社へ出勤する事になります。寝坊は禁物でした。
と、ごんごん、と控えめに襖がノックされました。久保さんだろうか、と襖を開けると、そこには慎吾がいたのでした。
「慎吾。…どうした?」
「……」
俯いていて何も言わない慎吾を取り合えず、寒いだろうと中へ入れます。
「まだ、」
「ん?」
何か小さく慎吾が呟きました。
「まだ触ってない。三ヶ月ぶりなのに。ずっと待ってたのに。張り切ってお前を迎えにまで行ったのに、まだ全然触ってない…。お前が」
その慎吾はまるで、泣き出しそうな小さな子供のようでした。
「お前が突然組に入るとか言い出して、ばたばたしたから。…お前は平気なのかよ。おれずっと」
瞬間、慎吾を抱きしめました。力を籠めて。
「ごめんな」
「謝ってばっかじゃん」
「そうだな、ごめんな」
後はただ二人とも無言で抱き合うのでした。
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ブログの更新を楽しみにしてくださっているとの事で有難うございます!そろそろ一旦一区切りをつけようと思っているのですが、まずはそれまで頑張ろうと思います。
>お慎
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部屋で一人になると、和さんは真っ先に慎吾に携帯をかけました。
「…何」
「慎吾、ごめんな。本当にごめん」
「……おれは、お前にこっちに来てほしく無かった」
「お前がそう思うだろうってのは、分かってた。なのに相談もなしに決めちまって、本当に悪かった。だけど、お前の身近な所に、近い位置に居たかった。誰よりも。お前が考えてるより、オレはお前に対して必死なんだ。親父さん…組長にはああ言ったけど、本当は誰にも譲りたくないし、ずっと縛り付けておきたい」
「んな事しなくても、ずっと好きだよ。そんな事分かってると思ってた。だから、四年間だってずっと耐えてきたんだろ」
「…そうだな」
「もういい」
「慎吾」
「もう、どっちにしろ決まっちまった事だ。一旦こっちに来たら、もう簡単には戻れない。そういうとこだから」
「分かってる」
「…じゃあ」
慎吾が携帯を切ってしまいました。慎吾がまだ許してくれていないようで、距離が開いてしまったようで和さんは不安になります。あまりに突然で、簡単に受け入れて貰えないかもしれないとは考えていましたが、思っていたよりも慎吾はこの事態を重く受け止めているようでした。
その夜、持ってきた荷物を片付け終え、共同風呂に入って歯も磨き、後は寝るだけとなった状態で、和さんは布団に寝転びながら思い悩みます。
ずっと慎吾と共に居るために取った行動が、失敗だったのかと。しかし大学生活が残り一年を切った時点でもう考えていたことでした。就職活動ではあらかじめ慎吾から情報を得、会社に入る事を決めていましたし、その後の事も徐々に決心を固め、実行に移した事でした。しかしそれは慎吾にとってはとても受け入れられない事だったのかと心配になります。不安で心臓のあたりがぎゅうっと締め付けられるような感じさえありました。
時刻は十一時を回り、部屋は久保という男が言っていたようにとても寒いところでした。あらかじめよこしてくれた(粗野なところはあるものの根は良い人物のようです)掛け布団をもう一つ上に重ね、今は何も考えずに寝ようと思いました。明日からはこの屋敷から会社へ出勤する事になります。寝坊は禁物でした。
と、ごんごん、と控えめに襖がノックされました。久保さんだろうか、と襖を開けると、そこには慎吾がいたのでした。
「慎吾。…どうした?」
「……」
俯いていて何も言わない慎吾を取り合えず、寒いだろうと中へ入れます。
「まだ、」
「ん?」
何か小さく慎吾が呟きました。
「まだ触ってない。三ヶ月ぶりなのに。ずっと待ってたのに。張り切ってお前を迎えにまで行ったのに、まだ全然触ってない…。お前が」
その慎吾はまるで、泣き出しそうな小さな子供のようでした。
「お前が突然組に入るとか言い出して、ばたばたしたから。…お前は平気なのかよ。おれずっと」
瞬間、慎吾を抱きしめました。力を籠めて。
「ごめんな」
「謝ってばっかじゃん」
「そうだな、ごめんな」
後はただ二人とも無言で抱き合うのでした。
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