だらだらと。
>最近、携帯を変えたのですが、以前のヤツはボタンが押し辛かったんですよ。力が要るというか。が、今のはすいすい押せて快適です。用も無いのにメールを打ちたくなったりとか。
>お慎
------------------------------------
「最近ではあまり沈めてませんが」
慎吾の兄が、淡々と伝えました。
「じゃ、じゃあそうだな、うん、山にしよう。その方がドラム缶とか重石とか用意する必要も無いし。スコップだけで事足りるからな。人目にも付き辛いし」
うああああああ!!相変わらず頭の中を、自らの絶叫がこだまします。過ぎ去ったはずの、そう思っていた悪夢が再び和さんを襲おうとしていました。
「ちょ、待てよ!和己は、」
慎吾が立ち上がって抗議しようとした時でした。
「あなた」
慎吾の母が、目の前の料理から目を離し、真っ直ぐに慎吾の父を見据えました。
「私は約束いたしました。あなたの許可は取っていませんが、四年間待つと。それから改めて話を伺うと、河合さんに既に約束を交わしたんです。それを反故にするというのでは筋が通りません」
「……!」
何かに打たれたように慎吾の父が口を噤みました。
「詳しい話は後で致しましょう。よくよく話し合う必要もあるでしょうし」
「分かった…。でも慎吾は僕の息子だよ。仮にも一組長の息子に手を出しておいて、無罪放免だなんて許されないだろう一子さん」
「そもそも、男が手を出されること自体、前例にありませんからね。でもあなた、組長の一人娘に手を出して無事でいる人間は私の目の前にいますけれど」
「…そ、それは違うだろう!僕と一子さんはれっきとした恋人同士で、許しを頂いて結婚まで至った…」
「慎吾とどう違うのかしら。男同士という点では違いますけれど」
「結婚なんて出来るわけないだろ男なのに!そんなのパパ許さないからな慎吾!」
「別に二人が結婚するだなんて言ってませんよ、あなた」
「うぐぐぐ…」
言葉に詰まってしまった慎吾の父は、歯軋りしつつも「もう寝る!」と言って広間を出て行ってしまいました。
「河合さん」
しっかりと夕飯を食べ終えた慎吾の母が、呼びかけます。
「一度お約束した事は必ず守ります。私の身にかけて。…それだけは言っておきます」
「…はい」
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>お慎
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「最近ではあまり沈めてませんが」
慎吾の兄が、淡々と伝えました。
「じゃ、じゃあそうだな、うん、山にしよう。その方がドラム缶とか重石とか用意する必要も無いし。スコップだけで事足りるからな。人目にも付き辛いし」
うああああああ!!相変わらず頭の中を、自らの絶叫がこだまします。過ぎ去ったはずの、そう思っていた悪夢が再び和さんを襲おうとしていました。
「ちょ、待てよ!和己は、」
慎吾が立ち上がって抗議しようとした時でした。
「あなた」
慎吾の母が、目の前の料理から目を離し、真っ直ぐに慎吾の父を見据えました。
「私は約束いたしました。あなたの許可は取っていませんが、四年間待つと。それから改めて話を伺うと、河合さんに既に約束を交わしたんです。それを反故にするというのでは筋が通りません」
「……!」
何かに打たれたように慎吾の父が口を噤みました。
「詳しい話は後で致しましょう。よくよく話し合う必要もあるでしょうし」
「分かった…。でも慎吾は僕の息子だよ。仮にも一組長の息子に手を出しておいて、無罪放免だなんて許されないだろう一子さん」
「そもそも、男が手を出されること自体、前例にありませんからね。でもあなた、組長の一人娘に手を出して無事でいる人間は私の目の前にいますけれど」
「…そ、それは違うだろう!僕と一子さんはれっきとした恋人同士で、許しを頂いて結婚まで至った…」
「慎吾とどう違うのかしら。男同士という点では違いますけれど」
「結婚なんて出来るわけないだろ男なのに!そんなのパパ許さないからな慎吾!」
「別に二人が結婚するだなんて言ってませんよ、あなた」
「うぐぐぐ…」
言葉に詰まってしまった慎吾の父は、歯軋りしつつも「もう寝る!」と言って広間を出て行ってしまいました。
「河合さん」
しっかりと夕飯を食べ終えた慎吾の母が、呼びかけます。
「一度お約束した事は必ず守ります。私の身にかけて。…それだけは言っておきます」
「…はい」
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>人様の日記からとんだ先のサイトの記事がとても面白くてつい読みふけってしまいました。
”生きていく上でまったく知る必要の/ないボーイズラ/ブの最新事情まとめ”
とか、その他のレビュー記事もとても面白かったです。
また、別のサイトの記事ですが、”本当は怖い聖徳/太子「超劇画・聖/徳太子」”とか、色んな意味で凄すぎてもう…。
世の中には凄いものがあるんだな、っていう。どういう需要があって出来たマンガなのかが全然理解できないわけですが、読むのは男性…?なんでしょうか。
>お慎
------------------------------------
「…ごめん、慎吾、ちょっと事情がよく分からないんだけどな」
こめかみを押さえつつ、引きつり気味の表情でそう言います。
「だから、オレと和己は付き合ってたの!つーか、今でも続いてんだけどさ。オレの中では」
刺身を頬張りつつ慎吾が答えます。
「でもちゃんと約束守ってるし」
「ちょっと待ってくれ。全然分からないぞ。どういう事だ?一子(慎吾母の名前)さんも、もっと分かりやすく言ってくれないと」
「だから、慎吾は男の河合さんの事が好きで、これからも付き合っていきたいと思っているんですよ。私は一旦反対しましたけど」
慎吾の父が、和さんを凝視しました。和さんはただ、固まっていました。視線を外すことすら出来ません。
「な、なんだと?慎吾はホモだったのか?そうなのか?」
とにかく混乱が収まらない様子で、尚も問います。
「その辺はよくわかんねーけど、和己の事を凄く好きなのは間違いねえ。でも別に女の子も嫌いじゃねーよ」
「そ、それは一体…どういう事なんだ。パパは初めて聞く話ばっかりだぞ」
「今話しているじゃありませんか」
漬物をぽりぽりと租借しつつ慎吾の母が冷静に返します。ここで、慎吾の兄が口を開きました。
「話していませんでしたが、慎吾と河合君は確かに付き合っていました。男同士なんて普通では有り得ない事ですが、事実のようです。そして、二人は今も互いをずっと好きでいます。それを三年前、河合君が尋ねてきた日に知らされたんです」
慎吾の父はただ呆然と聞いていました。
「お袋は一旦別れるように言いましたが、慎吾も河合君も引きませんでした。極道だと知っても引き下がりませんでしたし、親と縁を切ることがあっても、河合君は慎吾と付き合いたいと言いました。そして、大学を卒業するまでの四年間、ケジメとして三ヶ月に一度しか慎吾に会わない。四年後、改めて交際の許可を貰いに来たいと言ったんです。それで、そこに関しては許可を出すに至りました」
「…許可、ってパパ何にも聞いて無いぞ?!」
「だってあなた、全然家にいないじゃありませんか」
「それは家族の為に頑張って働いてるからだろう?いや、そうじゃない。そういう事じゃない。駄目だ。駄目だ駄目だ。慎吾がよりによって男と付き合うだなんてパパ絶対許さないぞ」
「もうずっと付き合ってたんだけど」
「つ、付き合ってた、って事はまさか。ま、まさか慎吾がそんな、男、と…」
がたがたと震えたかと思うと、顔色がみるみる青白くなっていきました。
「と、とりあえず」
「とりあえず何ですか」
相変わらず平静に食事を続けながら慎吾の母が先を促します。
「河合君には東京湾に沈んでもらって」
ええええええええ?!!和さんは絶叫しました。脳内でです。
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”生きていく上でまったく知る必要の/ないボーイズラ/ブの最新事情まとめ”
とか、その他のレビュー記事もとても面白かったです。
また、別のサイトの記事ですが、”本当は怖い聖徳/太子「超劇画・聖/徳太子」”とか、色んな意味で凄すぎてもう…。
世の中には凄いものがあるんだな、っていう。どういう需要があって出来たマンガなのかが全然理解できないわけですが、読むのは男性…?なんでしょうか。
>お慎
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「…ごめん、慎吾、ちょっと事情がよく分からないんだけどな」
こめかみを押さえつつ、引きつり気味の表情でそう言います。
「だから、オレと和己は付き合ってたの!つーか、今でも続いてんだけどさ。オレの中では」
刺身を頬張りつつ慎吾が答えます。
「でもちゃんと約束守ってるし」
「ちょっと待ってくれ。全然分からないぞ。どういう事だ?一子(慎吾母の名前)さんも、もっと分かりやすく言ってくれないと」
「だから、慎吾は男の河合さんの事が好きで、これからも付き合っていきたいと思っているんですよ。私は一旦反対しましたけど」
慎吾の父が、和さんを凝視しました。和さんはただ、固まっていました。視線を外すことすら出来ません。
「な、なんだと?慎吾はホモだったのか?そうなのか?」
とにかく混乱が収まらない様子で、尚も問います。
「その辺はよくわかんねーけど、和己の事を凄く好きなのは間違いねえ。でも別に女の子も嫌いじゃねーよ」
「そ、それは一体…どういう事なんだ。パパは初めて聞く話ばっかりだぞ」
「今話しているじゃありませんか」
漬物をぽりぽりと租借しつつ慎吾の母が冷静に返します。ここで、慎吾の兄が口を開きました。
「話していませんでしたが、慎吾と河合君は確かに付き合っていました。男同士なんて普通では有り得ない事ですが、事実のようです。そして、二人は今も互いをずっと好きでいます。それを三年前、河合君が尋ねてきた日に知らされたんです」
慎吾の父はただ呆然と聞いていました。
「お袋は一旦別れるように言いましたが、慎吾も河合君も引きませんでした。極道だと知っても引き下がりませんでしたし、親と縁を切ることがあっても、河合君は慎吾と付き合いたいと言いました。そして、大学を卒業するまでの四年間、ケジメとして三ヶ月に一度しか慎吾に会わない。四年後、改めて交際の許可を貰いに来たいと言ったんです。それで、そこに関しては許可を出すに至りました」
「…許可、ってパパ何にも聞いて無いぞ?!」
「だってあなた、全然家にいないじゃありませんか」
「それは家族の為に頑張って働いてるからだろう?いや、そうじゃない。そういう事じゃない。駄目だ。駄目だ駄目だ。慎吾がよりによって男と付き合うだなんてパパ絶対許さないぞ」
「もうずっと付き合ってたんだけど」
「つ、付き合ってた、って事はまさか。ま、まさか慎吾がそんな、男、と…」
がたがたと震えたかと思うと、顔色がみるみる青白くなっていきました。
「と、とりあえず」
「とりあえず何ですか」
相変わらず平静に食事を続けながら慎吾の母が先を促します。
「河合君には東京湾に沈んでもらって」
ええええええええ?!!和さんは絶叫しました。脳内でです。
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>一昨日は、友達と公園内のスターバックスで会っていたのですが、帰ろうとした所、車の鍵を閉じこんでしまった事が判明。(十年は乗ってるスターレットで、キーレスエントリーとかじゃない)
家までは車で45分ほどあり途方にくれました…。
友人は全く正反対の場所に住んでいるのですが、送ってくれて事なきを得ました。あり難や。
が、少々体調が悪く、更に車酔いも加わって帰り着く頃にはぐったりで。
次の日、電車と徒歩で車を取りに行ったわけですが、何とエンジンがかからず…。
JAFに来てもらって帰ることは出来たんですが、帰り道を間違えて帰り着くまでに凄く時間を要してしまって更にぐったりで。
色々大変でした。
>お慎
------------------------------------
日が落ち、そろそろ七時になろうかという頃、木下君が、組長がお呼びだから夕飯を一緒に食べるようにと伝えにきました。
とうとう来た、とまるで赤紙が来たかのごとく震える和さんと、面倒臭えな、と呟く慎吾が共に、広間に向かいました。
何畳あるのかも分からないような広間には、既に慎吾の父、母、兄が揃っていました。また、どこぞの料亭の懐石のごとき食事も並べられていました。
「あぁ河合君、慎吾、座って座って」
慎吾の父は気さくに声を掛けてきます。既に話は伝わっているだろうと思い、和さんは戦々恐々としていましたが、その親しげな様子に心の重石がごろごろと転がり落ちたような気がしました。
また気が軽くなると、周りを観察する余裕も出てきました。例えば慎吾の父はとても若く、端正な顔立ちのインテリ系といった感じでした。瞼が重そうなあたりは、慎吾の兄や慎吾に似ているようです。慎吾の母は相変わらず、凄みのある美しさです。思わず緊張してしまいそうな程の厳しい雰囲気をまとっています。
食事はそのまま、和やかな雰囲気で始まりました。
「河合君は、野球部の主将をやってたんだよね?」
「はい」
「実は一回だけこっそり、試合を見に行った事があったんだよ。秋大会だったんだけど。いや~あの時の君は格好良かったなぁ。こう的確に指示を出したり、ランナー刺したり。かと思えばヒットも打つし」
「…恐縮です」
どこぞの芸能レポーターのような返事を返します。
「ところで河合君は、いつ知ったの。ウチの家の事情」
「あ、その、卒業してから慎吾と連絡が取れなくなって。それで心配になって、こちらに訊ねてきてしまいました」
「そっかー。慎吾はこれまで誰にも話してこなかったし。それは一吾もだけど。でも心配してわざわざ来てくれるなんてな。今だってこうして家に来てくれて。慎吾、いくらなんでも突然連絡を絶ったりしたら駄目だろ。友達思いの河合君を心配させるみたいな事して」
え?と和さんが思った瞬間、慎吾の母が静かに口を開きました。
「あなた、河合さんは友達ではありませんよ」
「?友達じゃない、って?チームメイトって事か?」
「そうではないんです。慎吾と河合さんは高校時代にお付き合いをしていたようですよ」
「は?」
この時、和さんの頭は真っ白でした。と同時に、一旦転がって無くなったはずの心の重石が天からドスドスと落ちてきたような感覚に陥っていました。
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家までは車で45分ほどあり途方にくれました…。
友人は全く正反対の場所に住んでいるのですが、送ってくれて事なきを得ました。あり難や。
が、少々体調が悪く、更に車酔いも加わって帰り着く頃にはぐったりで。
次の日、電車と徒歩で車を取りに行ったわけですが、何とエンジンがかからず…。
JAFに来てもらって帰ることは出来たんですが、帰り道を間違えて帰り着くまでに凄く時間を要してしまって更にぐったりで。
色々大変でした。
>お慎
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日が落ち、そろそろ七時になろうかという頃、木下君が、組長がお呼びだから夕飯を一緒に食べるようにと伝えにきました。
とうとう来た、とまるで赤紙が来たかのごとく震える和さんと、面倒臭えな、と呟く慎吾が共に、広間に向かいました。
何畳あるのかも分からないような広間には、既に慎吾の父、母、兄が揃っていました。また、どこぞの料亭の懐石のごとき食事も並べられていました。
「あぁ河合君、慎吾、座って座って」
慎吾の父は気さくに声を掛けてきます。既に話は伝わっているだろうと思い、和さんは戦々恐々としていましたが、その親しげな様子に心の重石がごろごろと転がり落ちたような気がしました。
また気が軽くなると、周りを観察する余裕も出てきました。例えば慎吾の父はとても若く、端正な顔立ちのインテリ系といった感じでした。瞼が重そうなあたりは、慎吾の兄や慎吾に似ているようです。慎吾の母は相変わらず、凄みのある美しさです。思わず緊張してしまいそうな程の厳しい雰囲気をまとっています。
食事はそのまま、和やかな雰囲気で始まりました。
「河合君は、野球部の主将をやってたんだよね?」
「はい」
「実は一回だけこっそり、試合を見に行った事があったんだよ。秋大会だったんだけど。いや~あの時の君は格好良かったなぁ。こう的確に指示を出したり、ランナー刺したり。かと思えばヒットも打つし」
「…恐縮です」
どこぞの芸能レポーターのような返事を返します。
「ところで河合君は、いつ知ったの。ウチの家の事情」
「あ、その、卒業してから慎吾と連絡が取れなくなって。それで心配になって、こちらに訊ねてきてしまいました」
「そっかー。慎吾はこれまで誰にも話してこなかったし。それは一吾もだけど。でも心配してわざわざ来てくれるなんてな。今だってこうして家に来てくれて。慎吾、いくらなんでも突然連絡を絶ったりしたら駄目だろ。友達思いの河合君を心配させるみたいな事して」
え?と和さんが思った瞬間、慎吾の母が静かに口を開きました。
「あなた、河合さんは友達ではありませんよ」
「?友達じゃない、って?チームメイトって事か?」
「そうではないんです。慎吾と河合さんは高校時代にお付き合いをしていたようですよ」
「は?」
この時、和さんの頭は真っ白でした。と同時に、一旦転がって無くなったはずの心の重石が天からドスドスと落ちてきたような感覚に陥っていました。
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>今日も色々ありまして、疲労困憊でございました。
>拍手してくださった方、有難うございます!
>ぽぽ郎様
拍手とコメント有難うございました!無事本が届いたとの事で、良かったです。
丁寧なご感想頂いちゃってもうもう嬉しかったです。
テレビのやり取りは、慎吾がずるい感じが、らしくなったかな・・・?と。和さんは結構やり込められてる感じですね。これが視点が変わると違ってくるかと思うんですよね。マイペース和さんに慎吾が振り回されちゃうとか。
文句言いつつチャーハンもりもり食ってる慎吾のトコはカットとか含めて我ながら気に入ってます(笑)
今回は本当に有難うございました!
>お慎
------------------------------------
和さんはとにかく慌てて慎吾の部屋に戻りました。
「え、親父帰ってんの?」
慎吾はぱちくりと瞼を瞬かせて言いました。
「帰ってんの?ってお前知らなかったのか」
「いや、普段殆ど家に居ねーからさ。つかよりによって今日かよ」
「なあ、後で話聞かせてくれとか言われたんだよ。何も知らないみてーだったぞ、お前の親父さん。オレの事何も」
「じゃあ、お袋が話してなかったんだな」
事も無げに慎吾が言います。
「お前、何でそんな呑気なんだよ。また言わないといけねえのか?慎吾と付き合ってるんです、って。そしてまた別れろとか言われたらどうすりゃいいんだよ」
「ん~~、でも大丈夫じゃね?ちゃんとお袋と話した末でオレらこうやってルール守ってやってんだしよ」
「そうか。…そうだよな」
和さんは部屋を落ち着かなさげにウロウロとしていましたが、やがて自らに言い聞かせるように言いました。
「それにしてもお前の親父さん、何ていうかこう…あんまりヤクザっぽく無かったんだよな。サラリーマンみたいな感じというか」
「あぁ、まあ殆どサラリーマンだからな。今の仕事。つか元が極々一般人だったし」
「そうなのか?」
「うん。お袋が大学に通ってる時にさ、親父に一目惚れして付き合って、結婚して、入り婿、みたいな。親父もまさか付き合った当初は、極道やってる家の一人娘とは思わなかったみてーでさ。最初はそりゃもう驚いたらしいよ。蓋を開けてみたらびっくり、どころじゃねえよな~」
ねえよな~なんていうどころの騒ぎではないと思いましたが、しかしその台詞に和さんは少しの光明を見出しました。
「でもなんだか、オレにちょっと境遇が似てないか?うん、似てるかも。だってそうだろ?一般人と、極道の人間の組み合わせってあたりが。意外と組長といっても、オレの気持ちを少しは分かってくれたりだとか…」
何とか前向きなほうに考えたい和さんはそんな風にひとりごちます。
その時ふと、以前に慎吾のお兄さんが言っていた言葉を思い出します。
”この事が親父の耳に入るとちょっと面倒な事になる””河合君には最悪、東京湾に沈んでもらう事になる”
うああああああ!!和さんは心の中で悲鳴を上げ、実際には頭を抱えてうずくまりました。
「東京湾に沈むだとか…そんな話がもしかして、また浮上したりなんてしたら…」
これ以上無く気弱に呟きます。
「んな心配しなくて大丈夫だって。最近は沈めてねーよ?ウチの組」
昔は沈めてたのかよ!と慎吾に全力で突っ込みたくなりました。
「それにさ、親父は基本、穏やかだから。何かっつーと怒鳴る組員とはちょっと違うし」
「そうなのか。そうだといいけどな」
相変わらずの慎吾の平静ぶりに、安心したいと思いつつ、拭えない不安も抱える和さんなのでした。
------------------------------------
終着点が全然見えないんです。どうしよう。
>拍手してくださった方、有難うございます!
>ぽぽ郎様
拍手とコメント有難うございました!無事本が届いたとの事で、良かったです。
丁寧なご感想頂いちゃってもうもう嬉しかったです。
テレビのやり取りは、慎吾がずるい感じが、らしくなったかな・・・?と。和さんは結構やり込められてる感じですね。これが視点が変わると違ってくるかと思うんですよね。マイペース和さんに慎吾が振り回されちゃうとか。
文句言いつつチャーハンもりもり食ってる慎吾のトコはカットとか含めて我ながら気に入ってます(笑)
今回は本当に有難うございました!
>お慎
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和さんはとにかく慌てて慎吾の部屋に戻りました。
「え、親父帰ってんの?」
慎吾はぱちくりと瞼を瞬かせて言いました。
「帰ってんの?ってお前知らなかったのか」
「いや、普段殆ど家に居ねーからさ。つかよりによって今日かよ」
「なあ、後で話聞かせてくれとか言われたんだよ。何も知らないみてーだったぞ、お前の親父さん。オレの事何も」
「じゃあ、お袋が話してなかったんだな」
事も無げに慎吾が言います。
「お前、何でそんな呑気なんだよ。また言わないといけねえのか?慎吾と付き合ってるんです、って。そしてまた別れろとか言われたらどうすりゃいいんだよ」
「ん~~、でも大丈夫じゃね?ちゃんとお袋と話した末でオレらこうやってルール守ってやってんだしよ」
「そうか。…そうだよな」
和さんは部屋を落ち着かなさげにウロウロとしていましたが、やがて自らに言い聞かせるように言いました。
「それにしてもお前の親父さん、何ていうかこう…あんまりヤクザっぽく無かったんだよな。サラリーマンみたいな感じというか」
「あぁ、まあ殆どサラリーマンだからな。今の仕事。つか元が極々一般人だったし」
「そうなのか?」
「うん。お袋が大学に通ってる時にさ、親父に一目惚れして付き合って、結婚して、入り婿、みたいな。親父もまさか付き合った当初は、極道やってる家の一人娘とは思わなかったみてーでさ。最初はそりゃもう驚いたらしいよ。蓋を開けてみたらびっくり、どころじゃねえよな~」
ねえよな~なんていうどころの騒ぎではないと思いましたが、しかしその台詞に和さんは少しの光明を見出しました。
「でもなんだか、オレにちょっと境遇が似てないか?うん、似てるかも。だってそうだろ?一般人と、極道の人間の組み合わせってあたりが。意外と組長といっても、オレの気持ちを少しは分かってくれたりだとか…」
何とか前向きなほうに考えたい和さんはそんな風にひとりごちます。
その時ふと、以前に慎吾のお兄さんが言っていた言葉を思い出します。
”この事が親父の耳に入るとちょっと面倒な事になる””河合君には最悪、東京湾に沈んでもらう事になる”
うああああああ!!和さんは心の中で悲鳴を上げ、実際には頭を抱えてうずくまりました。
「東京湾に沈むだとか…そんな話がもしかして、また浮上したりなんてしたら…」
これ以上無く気弱に呟きます。
「んな心配しなくて大丈夫だって。最近は沈めてねーよ?ウチの組」
昔は沈めてたのかよ!と慎吾に全力で突っ込みたくなりました。
「それにさ、親父は基本、穏やかだから。何かっつーと怒鳴る組員とはちょっと違うし」
「そうなのか。そうだといいけどな」
相変わらずの慎吾の平静ぶりに、安心したいと思いつつ、拭えない不安も抱える和さんなのでした。
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終着点が全然見えないんです。どうしよう。
>今日は色々あってぐったりと疲れました…。
>先ほどまで、フィギュアのエキシビジョン観てました。その後のサ/ンデース/ポーツも。真/央ちゃんかわいい… 着物イイ… ってなりましたよ。ほんわかした感じがいいです。
>お慎
------------------------------------
『和己に会いたい』
日記には稀に、そんな一言が添えられることがありました。本当は、胸に渦巻いているそれを、少しだけ日記にこぼしているのだと思いました。それを目にするたび、自分も会いたい、こんな目に遭わせてすまないと、そんな強い気持ちに襲われていました。それでも何とか、ここまでやってきたのだと、後暫くの辛抱なのだと自らに言い聞かせます。そして、たった一日会える日には、出来るだけ慎吾を安心させようと努めていました。また同時に、目一杯の愛情を注ぐのでした。
そんな和さんが、トイレに立った時の事でした。慎吾の部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、中庭の池の淵に座り込んでいるスーツ姿の男性がいました。最初は組員の人かとも思いましたが、それにしては線が細く、極道の屋敷には不似合いな様子でした。ぼうっとした様子で鯉に餌をやっているようでしたが、ふと天を見上げたかと思うと、横を振り返りました。和さんと目が合います。
年は三十代後半ほどに見えました。一見してサラリーマンのようで、やはり場所に不釣合いな感じがしました。とにかく目が合ってしまったので和さんは会釈をします。男性は暫し和さんをじっと見た後、「君は見た事無いな。誰かな」と尋ねます。
組員には基本的に和さんの事は、慎吾の友人とだけ伝えられていました。
「友達、です。あの、慎吾君の」
少々動揺しつつもそう返しましたが、男性は少し首を傾げました。
「慎吾の友達がここにいるなんて変だな。友達がここに来るかな」
男性は立ち上がると、庭から廊下へと上がってきました。
「僕は父です。慎吾の」
そう言って、手を差し出してきました。驚愕しつつも、慌てて手を差し出して握手し、名乗りました。
「あの、河合、と申します」
慎吾の父といえば、組長のはずでした。想像していた人物とは随分と印象が違っていたので面食らっていました。
「良かったら後でまた、話聞かせてくれるかな。何も聞いていないもんだから」
にっこり笑って、慎吾の父は去っていきました。
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慎吾の父登場です。島崎家の家族を次から次へと捏造してますが、どうしても出てくるのでご容赦頂ければ。
>先ほどまで、フィギュアのエキシビジョン観てました。その後のサ/ンデース/ポーツも。真/央ちゃんかわいい… 着物イイ… ってなりましたよ。ほんわかした感じがいいです。
>お慎
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『和己に会いたい』
日記には稀に、そんな一言が添えられることがありました。本当は、胸に渦巻いているそれを、少しだけ日記にこぼしているのだと思いました。それを目にするたび、自分も会いたい、こんな目に遭わせてすまないと、そんな強い気持ちに襲われていました。それでも何とか、ここまでやってきたのだと、後暫くの辛抱なのだと自らに言い聞かせます。そして、たった一日会える日には、出来るだけ慎吾を安心させようと努めていました。また同時に、目一杯の愛情を注ぐのでした。
そんな和さんが、トイレに立った時の事でした。慎吾の部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、中庭の池の淵に座り込んでいるスーツ姿の男性がいました。最初は組員の人かとも思いましたが、それにしては線が細く、極道の屋敷には不似合いな様子でした。ぼうっとした様子で鯉に餌をやっているようでしたが、ふと天を見上げたかと思うと、横を振り返りました。和さんと目が合います。
年は三十代後半ほどに見えました。一見してサラリーマンのようで、やはり場所に不釣合いな感じがしました。とにかく目が合ってしまったので和さんは会釈をします。男性は暫し和さんをじっと見た後、「君は見た事無いな。誰かな」と尋ねます。
組員には基本的に和さんの事は、慎吾の友人とだけ伝えられていました。
「友達、です。あの、慎吾君の」
少々動揺しつつもそう返しましたが、男性は少し首を傾げました。
「慎吾の友達がここにいるなんて変だな。友達がここに来るかな」
男性は立ち上がると、庭から廊下へと上がってきました。
「僕は父です。慎吾の」
そう言って、手を差し出してきました。驚愕しつつも、慌てて手を差し出して握手し、名乗りました。
「あの、河合、と申します」
慎吾の父といえば、組長のはずでした。想像していた人物とは随分と印象が違っていたので面食らっていました。
「良かったら後でまた、話聞かせてくれるかな。何も聞いていないもんだから」
にっこり笑って、慎吾の父は去っていきました。
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慎吾の父登場です。島崎家の家族を次から次へと捏造してますが、どうしても出てくるのでご容赦頂ければ。