だらだらと。
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長かった法要がようやく終わり、一吾達と共に車に乗り込むと、少しだけ溜息をもらしていました。
「疲れたか」
「あ、すみません。…やっぱり慣れない場所で」
「まぁ、そうだな。…話しかけられてたな、下総組の…」
「はい。正直、何を喋ったのか殆ど覚えてません」
疲労が色濃く出た顔を片手で覆う和己に、失礼な事をしてなければ大丈夫だと、一吾は事も無げに言います。
屋敷に着くとすかさず車から降り、先回りして後部座席のドアを空け、頭を下げつつ一吾を外へと導きます。段々とこういった所作も身に付くようになってきていました。玄関では出迎えた舎弟によって塩を軽く撒かれ、ようやく邸内へと入りました。
「今日はもう疲れただろ。休んでていいぞ。他の奴に今日は任せる」
と一吾に有り難い言葉を貰い、ほっとして自室の扉を開けると、そこに居たのは慎吾でした。昼間から慎吾が自分の部屋を訪れる事は無かった為、暫し呆然とします。一方の慎吾は「おお~」なんて少し興奮気味に和己を上から下まで眺めるのでした。
「いや法事に行ったって聞いたからさ、待ってたんだよ。やっぱ良いよなぁ~、喪服」
そういう事か…とつい溜息が出てしまいます。以前、スーツが良いと言っていたのを思い出しました。
「そりゃ不謹慎だろ」
言いつつネクタイを外そうとすると、慎吾が慌てたように静止します。
「オレが外すから!っつか、そうじゃねーと意味ねーだろ。その為に待ってたんだからさぁ」
「いやお前…」
言うのも疲れてベッドに腰を下ろします。
「疲れたんだよ。極度の緊張強いられてさ。正直、今すぐにでも着替えて横になりたい。んで寝たい。一吾さんにも今日は休んでいいって言われたんだよ」
「休みなら余計にイイじゃねーかよ」
「いや無理だ。何ていうか精神的に疲れた」
そのまま本当は横になりたいと思いつつも、高い喪服に皺が入ると思うとそれも出来ません。
「とりあえず、脱がせるなら脱がしてくれ。じゃないと横にもなれねえ」
そういうと慎吾は仕方ねぇなあ、なんて言いながら明らかにテンションの上がった様子でネクタイを外し始めました。しかしやたらと勿体をつけるので時間がかかってしょうがありません。ジリジリしつつもようやくズボンが下ろされると、すかさずタンスまで歩いて行き、適当な部屋着を取り出し、身につけます。
「ちょっとさ、それってどうよ。せっかく脱がしたのに」
ぶうぶう文句を言う慎吾を無視してすかさずベッドに倒れこみます。
「つか何その服。ダセエ」
和己は、ロンTにスウェットという格好でした。しかしそのロンTが、竜が派手な色で全面にプリントされた、いかにもな柄だったのでした。
「仕方ねえだろ…久保さんがくれたんだよ…」
睡魔に半分程は身を預けるような状態で、辛うじてそう返しました。和己が島崎組に来てから暫く経った頃、会社でも働き、土日は至って真面目に仕事(主に家事)をこなし、言う事にも素直に従う様子を見、兄貴分である久保は少し好感を持ってくれたようでした。
「オレあんま着てねえからよ」
そう言って、いくつかの私服を譲ってくれたのです。その事自体はうれしかったのですが、どれも趣味が良いとは言い難い、有体に言えばチンピラそのものの派手で着辛いものばかりだったのでした。かといってまさか着ないわけにも行きません。というわけで、部屋着だと思うことにし、時々は身につけるようになりました。また、着ているうちに抵抗が無くなってくるのが不思議な所です。
「なぁ~、本当に寝るのかよ」
不満そうな慎吾の声が頭の隅にこだまします。辛うじて残っていた意識を総動員し、和己は手招きをしました。そうして身体を少しずらし、空いた布団の隣をぽすぽすと叩くと、慎吾は寄ってきて同じように横になりました。「起きたらちゃんと相手しろよな」と小声で零したのを聞いたが最後、和己は完全に意識を手放したのでした。
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>今日はモーニングの立ち読みしてきました。
宇宙/兄/弟は、こういうトコまで進んでるのね、と。
兄弟はじめ、登場人物に味があってイイです。日々/人可愛い。兄貴可愛い。
アポも良い感じに使われてます。
それと、社長島/耕/作、意外に面白そうだったかも…
最終的にはやはり会長になるんでしょうか。あんまりする事無さそうなイメージなんですが。
長かった法要がようやく終わり、一吾達と共に車に乗り込むと、少しだけ溜息をもらしていました。
「疲れたか」
「あ、すみません。…やっぱり慣れない場所で」
「まぁ、そうだな。…話しかけられてたな、下総組の…」
「はい。正直、何を喋ったのか殆ど覚えてません」
疲労が色濃く出た顔を片手で覆う和己に、失礼な事をしてなければ大丈夫だと、一吾は事も無げに言います。
屋敷に着くとすかさず車から降り、先回りして後部座席のドアを空け、頭を下げつつ一吾を外へと導きます。段々とこういった所作も身に付くようになってきていました。玄関では出迎えた舎弟によって塩を軽く撒かれ、ようやく邸内へと入りました。
「今日はもう疲れただろ。休んでていいぞ。他の奴に今日は任せる」
と一吾に有り難い言葉を貰い、ほっとして自室の扉を開けると、そこに居たのは慎吾でした。昼間から慎吾が自分の部屋を訪れる事は無かった為、暫し呆然とします。一方の慎吾は「おお~」なんて少し興奮気味に和己を上から下まで眺めるのでした。
「いや法事に行ったって聞いたからさ、待ってたんだよ。やっぱ良いよなぁ~、喪服」
そういう事か…とつい溜息が出てしまいます。以前、スーツが良いと言っていたのを思い出しました。
「そりゃ不謹慎だろ」
言いつつネクタイを外そうとすると、慎吾が慌てたように静止します。
「オレが外すから!っつか、そうじゃねーと意味ねーだろ。その為に待ってたんだからさぁ」
「いやお前…」
言うのも疲れてベッドに腰を下ろします。
「疲れたんだよ。極度の緊張強いられてさ。正直、今すぐにでも着替えて横になりたい。んで寝たい。一吾さんにも今日は休んでいいって言われたんだよ」
「休みなら余計にイイじゃねーかよ」
「いや無理だ。何ていうか精神的に疲れた」
そのまま本当は横になりたいと思いつつも、高い喪服に皺が入ると思うとそれも出来ません。
「とりあえず、脱がせるなら脱がしてくれ。じゃないと横にもなれねえ」
そういうと慎吾は仕方ねぇなあ、なんて言いながら明らかにテンションの上がった様子でネクタイを外し始めました。しかしやたらと勿体をつけるので時間がかかってしょうがありません。ジリジリしつつもようやくズボンが下ろされると、すかさずタンスまで歩いて行き、適当な部屋着を取り出し、身につけます。
「ちょっとさ、それってどうよ。せっかく脱がしたのに」
ぶうぶう文句を言う慎吾を無視してすかさずベッドに倒れこみます。
「つか何その服。ダセエ」
和己は、ロンTにスウェットという格好でした。しかしそのロンTが、竜が派手な色で全面にプリントされた、いかにもな柄だったのでした。
「仕方ねえだろ…久保さんがくれたんだよ…」
睡魔に半分程は身を預けるような状態で、辛うじてそう返しました。和己が島崎組に来てから暫く経った頃、会社でも働き、土日は至って真面目に仕事(主に家事)をこなし、言う事にも素直に従う様子を見、兄貴分である久保は少し好感を持ってくれたようでした。
「オレあんま着てねえからよ」
そう言って、いくつかの私服を譲ってくれたのです。その事自体はうれしかったのですが、どれも趣味が良いとは言い難い、有体に言えばチンピラそのものの派手で着辛いものばかりだったのでした。かといってまさか着ないわけにも行きません。というわけで、部屋着だと思うことにし、時々は身につけるようになりました。また、着ているうちに抵抗が無くなってくるのが不思議な所です。
「なぁ~、本当に寝るのかよ」
不満そうな慎吾の声が頭の隅にこだまします。辛うじて残っていた意識を総動員し、和己は手招きをしました。そうして身体を少しずらし、空いた布団の隣をぽすぽすと叩くと、慎吾は寄ってきて同じように横になりました。「起きたらちゃんと相手しろよな」と小声で零したのを聞いたが最後、和己は完全に意識を手放したのでした。
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>今日はモーニングの立ち読みしてきました。
宇宙/兄/弟は、こういうトコまで進んでるのね、と。
兄弟はじめ、登場人物に味があってイイです。日々/人可愛い。兄貴可愛い。
アポも良い感じに使われてます。
それと、社長島/耕/作、意外に面白そうだったかも…
最終的にはやはり会長になるんでしょうか。あんまりする事無さそうなイメージなんですが。
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