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だらだらと。
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 それから三日後、事件は起きました。

「説明しろ」
 苛立たしさを隠そうともせず、一吾が木下に言い放ちます。組の人間が十人ほど集められた部屋に、和己もいました。
「…街で、本当に偶然、下総組の長男坊と出くわしたんです。向こうが声をかけてきて、暫く慎吾さんと二人で話をしたいと」
九十度に腰を折ったまま話し始める木下は顔色を失っていました。
「どうしてだ。慎吾と面識なんて殆ど無えだろ」
「はい。恐らく一、二回、どこかで顔を合わせたぐらいだと。しかし向こうは覚えていたようで。妙にしつこい様子だったので目立つのも嫌だと思ったのか、慎吾さんは言う通りに近くのカフェに入ったんです。向こうの連れも、私も暫く表で待っていろと」
 しかし三十分経っても二人は出て来ず、様子を伺いに店内に入った所、姿が無かったという。向こうの舎弟二人も慌てた様子で携帯を鳴らしたようだったが繋がらず、慎吾の方も同様だったと言います。そして今になっても、連絡は取れないままでした。二人を見失ってから既に、四時間が経過している事になります。
「何故気付かなかった」
木下の額にはうっすら汗が滲んでいました。側に付いていながら見失い、もしも慎吾の身に何かあったとなれば、ただでは済みません。ケジメを取るのがこの世界の常識でした。
「通りに面していたカフェだったのですが、出口が路地側にもう一つあり、そこから出たのだと」
「一吾さん、どうします」
一吾の一番古株である舎弟の一人が、声をかけます。
「親父にはまだ言わない方がいいだろう。もう一度近辺を探せ。…それから下総に連絡を入れる」
携帯を取り出し、いくつかボタンを押すと、耳に当てます。と、その時一人の組員が足早に部屋に入ってきました。
「下総組組長が直々に、今、来られてます」
携帯をパタンと閉じると、「すぐに通せ」と短く言い捨てました。
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