だらだらと。
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和己が組に入ってから、八ヶ月以上が過ぎていました。季節は既に冬を向かえ、土日に課される屋敷の掃除(特に床の雑巾がけ)が身に堪える時期です。それに加え、兄貴分の久保からは、年始年末は特に忙しいからしっかり働くようにと言われていました。
「会社の忘年会もあるし大変そうだなぁ…」
ついつい、深夜の慎吾の部屋でボヤきます。
「まあな。組の行事だけでもクリスマス会だろ、忘年会だろ、大掃除に正月も待ってるしな」
「待て、クリスマス会?」
うっかり聞き逃しそうになりましたが、ヤクザらしからぬイベントが混じっていました。
「うん、クリスマス会。でっかいツリー飾るから。それとプレゼント交換もするし。お前も何か用意しとけよ」
慎吾は平然として言いました。
「ヤクザがクリスマス会とかすんのか?キリストの行事だぞ」
「あぁ、あんまそういうの関係無えから。要は楽しむためのイベントだろ?」
そんな事を言われても、いかつい組員達がクリスマスツリーに飾り付けをし、チキンを食べつつプレゼント交換をする、という図はあまりに違和感がありました。
「じゃあ、姐さんや一吾さんも参加すんのか?その会に」
どうにも違和感は拭えません。
「兄貴は途中参加かな。酒の差し入れして、暫く飲んだら下がっちまうな、部屋に。お袋は…どうだろ。ちょっと覗きに来るぐらいか。ちなみにオレはバリバリ参加すっけど」
「マジでか」
「マジで」
そもそも一体どんなプレゼントを用意すれば良いのか、全く検討も付きません。その筋の人間が喜ぶものといったら、酒やタバコぐらいしか思い浮かびませんでした。しかし酒は既に用意されているでしょうし、タバコは人によって好みもバラバラです。そもそもプレゼントとしてタバコというのも微妙だと思いました。
「何を用意すりゃ良いんだ…。さっぱり検討もつかねえよ」
「去年なんかはDVDプレーヤーとか喜ばれたけどな」
「家電かよ。高ぇなぁ」
「後は時計とか。妙に派手な」
「ますます高え」
「ネクタイとかで良いんじゃね?一番下っ端なんだから許してもらえるだろ。あ、でも派手なのにしとけよ。基本、金とか銀が好きだから。そこを押さえときゃ大丈夫だろ、多分」
慎吾に有り難いアドバイスを貰い、和己はほっと胸を撫で下ろしたのでした。
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というわけで、六月以来の「お慎」更新です。
何となく書き始めたのに、長くなってしまいました。まだ終われそうに無いのですが、最後まで書けたらいいなと思ってます。
オリジナル要素が強くて申し訳ないですが。
更新は飛び飛びになるかと思います。
長く創作物の更新がストップしてましたが、サイトを覗きに来て下さる方には感謝感謝です。
和己が組に入ってから、八ヶ月以上が過ぎていました。季節は既に冬を向かえ、土日に課される屋敷の掃除(特に床の雑巾がけ)が身に堪える時期です。それに加え、兄貴分の久保からは、年始年末は特に忙しいからしっかり働くようにと言われていました。
「会社の忘年会もあるし大変そうだなぁ…」
ついつい、深夜の慎吾の部屋でボヤきます。
「まあな。組の行事だけでもクリスマス会だろ、忘年会だろ、大掃除に正月も待ってるしな」
「待て、クリスマス会?」
うっかり聞き逃しそうになりましたが、ヤクザらしからぬイベントが混じっていました。
「うん、クリスマス会。でっかいツリー飾るから。それとプレゼント交換もするし。お前も何か用意しとけよ」
慎吾は平然として言いました。
「ヤクザがクリスマス会とかすんのか?キリストの行事だぞ」
「あぁ、あんまそういうの関係無えから。要は楽しむためのイベントだろ?」
そんな事を言われても、いかつい組員達がクリスマスツリーに飾り付けをし、チキンを食べつつプレゼント交換をする、という図はあまりに違和感がありました。
「じゃあ、姐さんや一吾さんも参加すんのか?その会に」
どうにも違和感は拭えません。
「兄貴は途中参加かな。酒の差し入れして、暫く飲んだら下がっちまうな、部屋に。お袋は…どうだろ。ちょっと覗きに来るぐらいか。ちなみにオレはバリバリ参加すっけど」
「マジでか」
「マジで」
そもそも一体どんなプレゼントを用意すれば良いのか、全く検討も付きません。その筋の人間が喜ぶものといったら、酒やタバコぐらいしか思い浮かびませんでした。しかし酒は既に用意されているでしょうし、タバコは人によって好みもバラバラです。そもそもプレゼントとしてタバコというのも微妙だと思いました。
「何を用意すりゃ良いんだ…。さっぱり検討もつかねえよ」
「去年なんかはDVDプレーヤーとか喜ばれたけどな」
「家電かよ。高ぇなぁ」
「後は時計とか。妙に派手な」
「ますます高え」
「ネクタイとかで良いんじゃね?一番下っ端なんだから許してもらえるだろ。あ、でも派手なのにしとけよ。基本、金とか銀が好きだから。そこを押さえときゃ大丈夫だろ、多分」
慎吾に有り難いアドバイスを貰い、和己はほっと胸を撫で下ろしたのでした。
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というわけで、六月以来の「お慎」更新です。
何となく書き始めたのに、長くなってしまいました。まだ終われそうに無いのですが、最後まで書けたらいいなと思ってます。
オリジナル要素が強くて申し訳ないですが。
更新は飛び飛びになるかと思います。
長く創作物の更新がストップしてましたが、サイトを覗きに来て下さる方には感謝感謝です。
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