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だらだらと。
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 慎吾が部屋に入り、続いて和己が入って戸を閉めます。何を言われるのか少々面倒に思いつつ振り返ろうとすると、突然背中から抱きしめられます。
「な、に」
「心配するだろ…」
溜息と共に吐き出された一言に、和己の思いが集約されているようでした。その低くて重い声に、慎吾は今度こそ反省し、「ごめん」と小さく返します。さらに言葉を紡ごうとすると、手でがしがしと無遠慮に髪の毛をかき混ぜられ、「このアホ」と身体を離して頬を引っ張られ、挙句に額に軽く頭付かれます。
「いてぇ」
涙目でした。
「もうホントに、気をつけろ。悪い人には付いていくなって言葉知らないのか」
「いやだから…ってか小学生じゃねえんだから」
「携帯取りに行くんだろ」
「…あぁ、明日にでも」
「帰りに機種変更して来い。GPS携帯な」
「はぁ?それこそ冗談じゃねーよ。子供じゃあるまいし」
「大して変わんねえだろ。一吾さんも賛成してくれると思うな」
「…あのさ、兄貴に何か言われたの」
その通りでした。どうせ自分の言葉なんて慎吾は右から左へ聞き流してしまうだろうから、代わりに説教しといてくれと言われていたのです。言われなくても、和己はそのつもりでした。
「オレはな、まだこの世界で知らない事は沢山あるし、今日みたいな事が起こった時、どういう事態に発展して、どういう行動を取るのが最善なのか、まだ良く分からない。ただ最悪、事と次第によってはお前を失う可能性だってある事ぐらいは分かった。背筋が寒くなった。だから、何でもやれる事はやっとくんだ。そしてお前は、もしまたこんな事があったら、心底打ちのめされる人間の事を思い出せ」
俯きがちに、真摯に和己は語りました。
「…うん」
慎吾も判っていないわけではありませんでした。しかし不測の事態が怒った時こそ悠然と構えていた方が良いと思っていましたし、なるようにしかならない事もあると思っていたのでした。ただ、和己が言いたい事は身に染みて分かったので、ただ頷くのでした。
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