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だらだらと。
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「慎吾!」
 怒鳴り声と同時に、ガラスの引き戸を開けようとして鍵に阻まれる音が、ガキィンと派手に響き渡りました。その音が和己の心臓の辺りをキュウウと締め上げます。
「何だよ…」
眠そうな、そして不機嫌そうな慎吾の呟きにかぶせるように「開けろ!顔を見せなさい慎吾!」と悟の声が聞こえてきます。その後引き戸を開けた慎吾と、父、悟のやり取りが聞こえてきました。
「聞いたぞ、行方不明になったってどういう事だ!」
「聞いたんだろ?そういう事だよ」
面倒臭そうな声色で返します。
「大体何なんだよ、こんな朝早くからよ。何時だと思ってんだよ。どんだけ早起きだよ。もうそんな年だっけ?」
「今日は何だか目が覚めたんだよ。虫の知らせってやつだなきっと。何となく家族はどうしてるかなって、ホテルから電話かけたんだ。そしたら一吾が、お前が昨日姿を消してたとか眠そうな声で言うじゃないか。しかももう解決したから心配するなとか。お父さんを何だと思ってるんだ?いくら普段家に帰ってこないからって、いつもいつものけ者にして!」
「ちげーよ。兄貴が知らせるまでも無いって判断したんだろ。正しいじゃねーか」
「それは若頭としては正しいのかもしれないけどな、家族としては間違ってるぞ!」
「じゃあ兄貴に言ってくれよ…。つか寝てえんだけど。さっきまで気持ちよく寝てたのに…ってアレ」
「何だ」
「いや何でも…じゃ、そういう事だから」
ガラガラ、ピシ、ガチャ、と戸を閉めてしまったのが音で分かりました。悟は暫く「話は終わってない」、「開けなさい」と粘っていたようでしたが、諦めて去っていったようでした。
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