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だらだらと。
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山ノ井の言葉にも、慎吾は眉を寄せて黙ったままでした。
「あのさぁ、もっとリアクションしてよ。ちょっと無愛想になったんじゃないの?オレが警察学校通ってるって聞いたら皆、驚いてくれたのに。山ちゃんが警官かよ!怖ぇな!みたいなさ」
「それとオレの事とどう繋がるんだ?」
一本調子で返します。
「なんか和己みたい。凄いガード固いよね。キャラ変わった?」
「別に」
「どこのエリカ様?…まぁ良いや。警察学校でさ、配属先の希望を出すんだけど。どういうわけか教官に熱心に勧められたんだよね。お前は組織犯罪対策部に行ってくれ、いや行くべきだ。向いてる、って」
「……」
「これって有望って事だよね。そこまで言われちゃうとオレとしても断れないっていうか。本当は、市民の平和を親身になって守る交番の警察官を目指してたんだけど、希望が通って本庁の組織犯罪対策部第三課に配属されました!」
そう言うと誇らしげに胸を張りました。
 そこまで言われれば嫌でも事情が飲み込めました。山ノ井の所属する課は暴力団対策等を担当する部署でした。
「つまり、そこで知ったんだな?」
「そういう事。でも別に他意は無いよ。最初にも言ったけど」
山ノ井は担当地域の資料に目を通す内に、島崎組の存在を知ったと言います。
「正直運命だと思ったね。だってこんな偶然無いでしょ?」
うきうきとした様子で話す山ノ井に対し、あくまで慎吾はクールでした。
「それで急に会いたいとか言い出したのか?悪いけど、警官の山ちゃんに用は無いよ。さっきも言ったけど帰ってくれ」
しかし山ノ井は動じるどころか、ふふふと笑いました。
「やっぱりそうなんだ。実は半信半疑だったんだよね、会うまでは。資料に組長とお兄さんの名前は載ってるけど慎吾の名前まではない。殆ど組の運営に関わってないんでしょ。元々秘密主義の組みたいだけど」
言われた言葉に、冷たく睨み返します。自分をハメた山ノ井の言動が、癇に障ります。
「酷いなぁ。そんな顔隠してたなんて。知ってたらうっかり惚れてたかも」
もはや山ノ井に何を言っても無駄だと慎吾は悟りました。「ウチに来ても何も出ねえぞ」と投げやりのように言います。事実、探られて困るような事は今の島崎組にはありませんでした。あるとすれば会社運営の事実ですが、屋敷に来た所でそれがバレようはずもありません。変に拒否すれば逆に怪しまれる可能性も無くはありません。
 。山ノ井は、ただ、課の誰も踏み入れた事の無い島崎組に行ってみたいのだと、慎吾に都合の悪い事をするはずが無いのだと強調しました。そうして待たせていたタクシーに慎吾を促し、自らも乗り込んだのでした。
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キンモクセイの匂いがすると、秋が来たなと思いますね。
まぁ、それよりも寒さが否応なく厳しいですけど。
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