忍者ブログ
だらだらと。
| Admin | Res |
<< 12  2025/01  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31    02 >>
[504]  [503]  [502]  [501]  [500]  [499]  [498]  [497]  [496]  [495]  [494
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

----------------------------------------------------
 当日の日曜は、駅までタクシーで山ノ井を迎えに行くことになりました。運転手付きの車で出迎えるのも大仰で、かといって歩いていくには遠かったからです。

「慎吾老けた?」
 駅前に姿を現した山ノ井は開口一番そう言いました。
「ちょっと待ってよ。酷くね?久しぶりの再会なのに、いきなりそれかよ」
「酷いのは慎吾でしょ。何なの。殆ど音信不通でさ」
「まぁ、結構忙しかったんだよ」
その話になるとどうしても不利になってしまう為、話題を変え、とにかくタクシーに乗せてしまう事にしました。幸いにも山ノ井は余りツッコんだ話題を振ってきませんでした。どうでもいい雑談ばかりをします。
 そして、例の叔父の家に到着しました。にも関わらず、山ノ井はタクシーから降りようとしません。
「違うでしょ慎吾」
「…何が」
意味が分からず、問い返しつつも、何か勘付かれるような事をしただろうかと記憶を探ります。
「オレは本当の慎吾の家に行きたいの。運転手さん、ここに行って下さい」
ズボンのポケットから小さく折り畳んだ紙切れを渡します。
「慎吾、観念してよ。全部分かってるから」
そう言うと、にっこり笑ったのでした。


「言ってる意味が分かんねーんだけど」
 慎吾は声のトーンを明らかに落とし、山ノ井を少しの威圧感と共に見返します。
「あぁ、そういう顔するんだ。初めて見た」
しかし全く動じることなく、寧ろ興味深げに返してきます。
「悪いけど、このまま帰ってくんねーかな。話になんねーし」
すると山ノ井は溜息を付き「外で話そうか」とタクシーは待たせたままの状態にし、降りるように促したのでした。
「まず分かって欲しいんだけど、オレに悪意は無いから。慎吾の害になるようなことをするつもりは無いし」
慎吾は黙ったままでした。まだ真意が分からないからです。
「本当は、慎吾の部屋ででも華麗に打ち明けたかったんだよね。そんでちょっと驚いて欲しかった。…でも当然か。そんなすんなり連れて行ってくれるわけないよねぇ、組に」
山ノ井の言葉にぴくりと眉を動かしますが、まだ口を出すには早く、黙って喋らせます。
「オレの進路知ってる?…っていうか、誰とも連絡取ってないみたいだから知らないよね」
そう言うと山ノ井は敬礼のポーズを取り、茶目っ気たっぷりに言い放ったのでした。
「実は警察官になりました!」
----------------------------------------------------


拍手とか、暖かいコメント有難うございました。
もう暫く続くかと思いますが、お付き合いくださいませ!
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
Mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ表示(チェックを入れると管理人だけに表示できます)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
夜桜お慎70     HOME     夜桜慎吾68
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析

Powered by Ninja Blog    Material by mococo    Template by Temp* factory
Copyright (c)3足のワラジ All Rights Reserved.


忍者ブログ [PR]