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だらだらと。
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 やがてタクシーは島崎組に到着しました。山ノ井は興味の塊のような顔で、屋敷を取り囲む高くて長く続く壁を見回しています。ただのミーハー根性のように見えますが、まだ油断は出来ません。何もやましい所は無い事を理解させ、後はお茶でも飲んで帰ってもらおうと考えます。
 ただ一つ問題があるとすれば、それは和己でした。土日の訪問客の応対をし、出迎えるのは和己の仕事だからです。そこで邸内に入る前に携帯で連絡し、出迎えも応対も必要の無いこと、部屋からも出てこなくていいと短く伝えました。

 自分の部屋へ山ノ井を案内すると、お茶菓子を持って来させ、後は知らないとばかりに慎吾はベッドの上に寝転びました。
「慎吾、あれ何」
山ノ井は部屋の一角を指差していました。そこは、かつて和己が持って来た民芸品が所狭しと並んでいました。
「旅行にでも行ってんの?」
面倒臭くて慎吾がそれを肯定すると、「随分暇なんだね」と返ってきました。「オレなんて超忙しいよ」
そこから、山ノ井の勤務についての話から、警察学校での話まで様々な話題が飛び出しました。自分とは全く正反対の世界に身を置く山ノ井の話は、興味深いもので、気がつけば高校時代のように話は弾んでいるのでした。
「つーか、そんな規律に縛られた生活、よく耐えられるよな。考えらんねえ」
「でも野球部にいたからね。その辺は鍛えられてたせいか、思ったより順応できたよ。それに、オレが警官になった、って言った時の皆の反応が楽しみだったし」
「そんな事の為によく身体張るよな」
「いや勿論、正義感があってこその決意だから」
「嘘くせーよ山ちゃん。限りなく」
すると慎吾ヒドイ、やっぱり変わった。オレに対する愛が無くなった、なんて言うので、「無いから元々。山ちゃんに愛とか」と返します。やはり山ノ井との会話はぽんぽん弾むなと慎吾は思うのでした。
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